夫婦喧嘩は子供に対して様々な負の影響を与えます。喧嘩の質や程度によって生じる作用はそれぞれ異なります。

殴り合いでなければ問題ないのではないかと思われがちですが、口喧嘩事だけであったとしても、ストレスなど、それなりに影響が生じます。

そのような夫婦喧嘩が子供に対して与える影響は具体的にどのようなものか、また生涯にわたって影響してしまうトラウマとはどのようなものなのかを理解しておくことが重要です。

夫婦喧嘩が子供に与える精神的悪影響

夫婦喧嘩を見せることは、子供の精神面に悪影響となります。夫婦の喧嘩は当人たちにとってみれば大したものでなかったとしても、子供たちからすれば何が起きているのか分からないため、それだけでかなりのストレスなのです。

また、言語による意思疎通がはっきりとはとれない乳幼児期だとしても、大声や大きな物音だけで非常に強いストレスを与えることになります。

怒りという感情が伝わる事で、子供を苦しめる事となります。

精神疾患の原因となりえる

子供に夫婦喧嘩を見せる事で考えられる精神的な不調は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)があります。

・PTSD
PTSDという疾患で多くの人が連想するのは、大きな事故や戦争体験、性暴力、地震などの自然災害の後に起きるストレス反応と考えられています。

しかし、1回の衝撃的な事故だけではなく、連続して起きるストレスから変調をきたすケースもあります。

特に、幼少期はストレスに対する対応能力が未成熟であり、かつ成長過程の途中であることから、外的環境に大きく影響されやすくなります。

夫婦喧嘩の問題として、本来子供にとって安全基地であるべき家族が、その役割を維持できないという事があります。子供は外部との接触の中で様々なストレスを抱えますが、それらを解放できる場所として家族があります。

しかし、夫婦喧嘩を見せるような環境では子供は落ち着いて過ごすことが出来なくなり、結果的にストレスを抱え込んでしまう事に繋がります。

PTSDとして発症するのは、幼少期や夫婦喧嘩の直後とは限らず、数年後、成人してから発症するケースも少なくありません。突然の呼吸困難や不整脈、抑うつ状態などに陥るリスクがありますので、夫婦喧嘩が常に危険を与えているといえます。

自己肯定感の喪失

夫婦喧嘩はその時だけで終わる問題ではなく、家族間の空気を長い間暗いものにしてしまいます。大人であればある程度切り替えることが出来ますが、幼少期はそれをうまくすることが出来ません。

基本的に、子供は自分中心で物事を考えてしまいます。そのため、なんら原因に関係していない子供自身が喧嘩の原因になっていると、捉えてしまう事にもつながります。

子供は、

「お父さん・お母さんが喧嘩するのは僕/私がいい子にできないからだ」

という考えに至るとかなり危険です。そこから、

「喧嘩の原因である自分なんていないほうがいい」

という考えに至るケースも少なくはありません。

自己肯定感の喪失は、長期にわたる問題となります。大人になっても自己肯定ができない人にもなりえますし、精神的な偏りを見せる危険性もあります。

大切にされていないという認識から、自らの思い描く未来について希望を持たず、無為な生活に陥る可能性は高くなります。

反社会的な行動につながるリスク

夫婦喧嘩を常に見ている環境にいると、普段から罵りあう事が普通になっていますので、言葉は汚くなっていきます。

また、感情のコントロールが難しくなり、暴力的な子供になっていく危険性もあります。それがきっかけで周囲と上手く溶け込めなくなり、孤立してしまう事も少なくありません。

親の喧嘩によって抱えるストレスを解消する方法として、反社会的な行動、万引きやいじめに手を染める事があります。万引きなどをして自分を見てもらおうとするというパターン、周囲をうらやむことで起こすいじめなどは家庭内の問題を超え、社会的な問題となります。

ここまで悪化する事は多くはありませんが、こうなれば更生する事も難しくなっていきます。

夫婦喧嘩が子供に与える身体的悪影響</h2
夫婦喧嘩は子供の精神的な影響だけではなく、身体面にも悪影響を及ぼさせる事があります。

成長・発達の過程において過剰なストレスは、子供の生育に様々な影響を及ぼすとされています。

子供の脳が萎縮する

一番大きな影響は、脳の萎縮が起こる危険性があるという事です。極度なストレスが加わると、成長中の繊細な脳がストレスに適応するために変化していきます。主に前頭前野などの感情・思考をつかさどる部分が発達しにくい状況となっています。

また、映像記憶に関連する視覚野の記憶容量が、低下している可能性が懸念されています。
視覚的な記憶の領域を減らすことで、両親の喧嘩という苦しい思い出を脳内にとどめないようにするための、身体的な反応とも考えられます。

結果として、適切に成長できなくなり、本来得られるはずの能力を得る機会が奪われてしまうリスクへとつながります。

身体的成長の阻害

身体的な成長にも大きな影響があるといえます。そもそも両親の喧嘩が起こると、子供は家の中で穏やかに過ごすことが難しくなります。そうすると、日常生活全般に影響が出ます。

特に、幼少期にとって成長を促すきっかけとなるものに睡眠があります。子供は昼寝なども含め1日の半分近くの時間を睡眠に割り当てます。そうすることで大きく身体的にも成長していきます。

しかし、両親の喧嘩により、落ち着いて過ごすことが妨げられると、良質な睡眠は得られなくなる危険性があります。成長ホルモンの分泌が阻害され、身長の成長が妨げられたりしますので、非常に大きな影響があるといえます。

影響のひとつ「アダルトチルドレン」

両親の喧嘩によって健全な成長発達が妨げられると、将来的に影響が生じる事はこれまで述べた通りです。その影響のひとつ、「アダルトチルドレン」についてわかりやすく解説していきます。

機能不全家族で育った場合に起こる

両親の不仲により、感情抑圧などを強いられた子供が育ち大人になる事で、様々な生きづらさを感じるようになります。そうした人たちのことをアダルトチルドレン(ACOD)と呼びます。

家庭内トラウマを持っている大人

アダルトチルドレンは、機能不全家族で育ち、虐待・身体的な暴力などの家庭内トラウマを持ち成長した人となります。

親の喧嘩を目の当たりにすることでトラウマを抱える

両親の喧嘩を見せるという事は、十分トラウマになりえるという事を知っておく必要があります。

アダルトチルドレンの人々は、

・共依存傾向
・アルコール・薬物への依存性
・他人との適切な関係構築ができない

といった、生きにくさを抱える事があり、生涯を通じての苦しみになります。

余談ですが、元々アダルトチルドレンという概念はアルコール依存の過程で成人した人の研究の中で生まれたものです。こちらはACOAと区別されています。

分類されてはいますが、アルコール依存の親がいる家庭の多くは、機能不全家族で、家庭内での暴力がよく生じるため同様のストレスを子供に与えているといえます。

子供のダメージサイン

子供は喧嘩をみるたびに脳へ強いストレスを受けます。そのたびに少しずつ成長を阻害させ、苦しめていきます。

そのサインは身近なところにあります。そのサインに対して気付くことは子供を救うために必要な事です。

泣くことが出来ない

子供が夫婦喧嘩を見たとき、初めは泣きます。怖い事に対して泣くという反応は普通の反応です。

しかし、その時期が過ぎるとゆくゆくは泣くことが出来なくなります。これはストレスに対しての適切な対処行動を取ることが出来なくなっている、という事です。

泣くことが出来ないという事は、感情コントロール機能の喪失ですので、非常に危険な状態となります。

話すことが出来ず、黙り込む姿が増える

子供が、夫婦喧嘩を境に黙りこむようになる事も危険なサインです。前述のとおり、子供は自分中心でしか物事を把握できないため、夫婦喧嘩の原因を自らに求めます。そのため、余計なことを言ってはならないと周囲をうかがうようになります。

周囲への配慮ではなく、周囲に対しておびえる形でうかがうため、一見すると静かに出来る子にみえます。

しかし、夫婦喧嘩が原因で静かにしているという状況は、感情を吐き出せないという状態ですのでかなり危険です。

子供はある意味わがままを言う存在です。そのため、年齢相応にわがままをいえなくなるというのは、本来あるべき姿ではないと認識しておく必要があります。

両親の喧嘩を止めようとする

これも危険な反応です。夫婦仲を子供が取り持たなければならない事自体、ありえないはずです。本来の役割と逆転すらしていますので、家族仲がひどく悪化しているといえます。

子供にとっては、苦痛な時間をなるべく早く脱するために、恐れながら立ち向かっています。

そもそも喧嘩自体がストレスの元ですが、子供が仲裁に入るということはさらに大きなストレスを与えますので、大きなダメージを与えさせる事であると深く理解しておきましょう。

喧嘩を見せてしまった時の対処法

そもそも、夫婦喧嘩を子供の前では見せないという工夫が大切です。

不安を取り除いてあげる

喧嘩ではなく、なるべく話し合いで終わるようにする事も重要となります。暴力などはもってのほかで、そこに至る前にゆっくりと丁寧に解決しておきましょう。

しかし、やむを得ず子供が喧嘩を見てしまった時にどうすればよいかを知る事は、重要です。

・慰める、スキンシップをとる
不安を取り除いてあげるために慰めたり、スキンシップをとる事が大切です。子供が安心できる一番はそばにいてあげること、話を聞いてあげることです。ゆっくりと時間をとることができるといいですね。

きちんと仲直りする

また、その場できっちりと仲直りをする事も重要です。しっかり仲が戻ったことを認識させ、子供のへの安心感を与える事が重要といえます。

必見!夫婦喧嘩が子供に与える影響とそのトラウマについてのまとめ

PTSDなどの有病リスクを格段に引き上げ、子供の健全な成長への妨げになるものだと十分理解していただけたのではないでしょうか。

夫婦喧嘩は、当人が思う以上に子供に与える影響は大きいものであると心にとめておきましょう。

子供の頃は、身体の成長とともに精神的な成長もめざましいものです。そこで、将来の人格形成に大きな影響を与えてしまうようなストレスを与えないよう努力することも親の役割です。

喧嘩するにしても子供に見せないために、夫婦間でルールを作るのも重要です。子供を守るために工夫していくようにしましょう。