DV夫は家庭内を疲弊させる存在です。DV解決のために、2000年代に法整備が進みましたが画期的な解決が出来た訳ではなく、今なお多くの家庭を苦しめています。

DVを受けている当事者は周囲の支援を受けることも難しく、もしかして自分がおかしいのではないかと責めてしまうケースも少なくありません。全般的に強いストレスが生じるため、DVからの二次的な抑うつ状態を引き起こす可能性もあります。

そうならないためにはDV夫の特徴、対処法を理解しておくことが大切です。

DV夫の特徴

DV夫になる背景は様々な要因がありますが、DVの目的は配偶者への精神的な束縛、コントロールが大半です。自らの支配下に置きたいという強い操作性があり、モラハラ等と根源的には近くなります。

精神疾患的な分類でいえば、発達障害圏やパーソナリティ障害圏であるケースも少なくありません。性格的な問題と考えられがちですが、DVという社会的な逸脱がみられる時点で社会不適応状態ですので、精神障害圏といえます。

そのようなDV夫の特徴には次のものがあります。

世間体がよい

DV夫はDVが社会的に認められない行為であることを理解しています。そのため、世間体をよく見せようと振る舞います。

前述した精神疾患的な分類で考えると、パーソナリティ障害圏の場合は周囲のコントロールに長けているため、周囲にどのように見られているのかを意識する事が上手です。

発達障害圏のタイプでは、広汎性発達障害(旧来のアスペルガー気質)傾向の場合、寡黙でコミュニケーションは取りにくいが、仕事はコツコツとこなすタイプであるという評価になりますし、ADHDタイプであれば、落ち着きはないが人付き合いはよい傾向がみられます。

どのタイプであっても、外面はDVをするタイプには見えないという共通点があります。

発達障害圏であればちょっと変わり者であるという評価にもなりますが、家庭内に比べればおおむね外面はよいといえます。

人によって態度が変わる

DV夫は前述のとおり世間体がよいのですが、そこに打算的な考えがある場合、下の人間に対しては高圧的となるケースがあります。

これは家庭内、妻に対してだけではありません。仕事の部下や店員などに対しても強く罵倒するケースがあります。圧力をかけても自らが不利益にならない事を確認したうえで、その場を自らが優位になるようにするためです。

このパターンのDV夫は、前述した精神疾患的な分類の中でも、パーソナリティ障害圏の自己愛性パーソナリティ障害のタイプによく見られます。

自己愛性パーソナリティ障害の人は、根本的に自らが最も優れているという考えがあります。自らより上の立場の人間には、自らの価値を高めるためにも上手く取り入る事が出来るので世間体は崩れませんが、本心から社交的にしているわけではありません。

自らの立場を維持するためのふるまいに過ぎないのです。そのため、先輩らからの評判はよくとも、部下からの信頼は少ないという場合は、このタイプの可能性があります。

周囲に対する不平不満が多い

DVを様々なことに対しての不平不満がみられるケースがあります。

前述した自己愛性パーソナリティ障害の場合は、自己評価が異常に高いため、周囲に認められていないという事と周囲に対しての見下しがあります。極端な話をすれば、自らの行っていることはすべて優れているという認識があるため、自らの振り返りを期待する事は困難です。

境界性パーソナリティー障害の場合は、周囲が自らを作ったという根底があり、そこからくる不平不満がみられるケースもあります。

また、広汎性発達障害の場合、過度なこだわりから生じる些細なものへの違和感等が不平不満の訴えとなります。不平不満のルーツは違いますが、それぞれの理由で愚痴などを訴えることに繋がります。

高い依存性

DV夫の特徴は分離不安を抱えている事が少なくありません。どのタイプにも依存性は少なからず認めます。

一番顕著にみられるのは境界性パーソナリティ障害です。このタイプはコミュニケーションの根底に他者と親密になる事への不安・葛藤を抱えている事もあり、親密になればなるほど関係が歪んでいき、元来の対人障害から依存性へと結びつきます。

また、自己愛性パーソナリティ障害は、高い自己評価から自らから離れていく存在を認めることはできず、結果的に依存的な関係へと導いていきます。

発達障害圏の場合は、高い依存性は必ずしもみられるわけではありません。ADHDなどは衝動性などがみられますが、関係性の依存ではなく物質や行為への依存ですので、少し異なるといえます。

ただ、広汎性発達障害の場合は、対象に対するこだわりから依存的になる事は少なくありません。

DV夫が配偶者におこなう行動

では、DV夫の実際の行動についてみていきましょう。

束縛が強く、外出などを妨げて支配する

DV夫は、どのような背景があったとしても、おおむね束縛が強くなります。

・外に出したがらない
通常、人は外出などをして社会的に交流していく中で、様々な知識や刺激を得て家族全体としても成長していきますが、外出などが途絶えると社会的にも孤立していく事になります。

人は他者との接触を断つと、今ある関係性を当然のものだと認識するように適応し、「逃げる」という感情すらも失い、支配下におかれます。

これは監禁事件などで起こりえる心理の変化と近いものであり、危険です。

相手を無視したり、批判する

DV夫は基本的に、自らの思い通りにならない事がきっかけで不機嫌となります。罵倒する事はもちろん、無視をするだけでも妻からすれば「遮断された」と感じさせる行動で、心理的に強い恐怖心を与えます。DV夫の場合は無視の先により強い暴言や暴力へと発展していきます。

愛しているなどという言葉を口にする

DV夫の特徴は暴言や暴力のあとに、

「愛している」
「君のためだよ」

といった言葉をかける事が少なくありません。まさに、飴と鞭のような使い方をします。

この言葉により妻は「私が悪かった」という認識を持つ危険性があります。一方的な避難では終わらないため関係性が持続してしまい、最悪の場合夫に対して忠誠を尽くすパターンに陥ります。

DV夫の対処法

DV夫の対処法は非常に難しいといえます。

それぞれに何らかの器質的な問題が関与しているケースが多く、専門家であっても介入が難しいため、傷ついた状態の妻がうまく対応できるとは考えにくいことです。

夫を改心させたい場合

もし、DV夫を改心させたいのであれば、困難な道のりになる事を覚悟しなければなりません。
改心ができたとしてもDVに再度陥るリスクは高く、元来の対人関係の構築方法が支配的であるためです。

・客観的にDVであることを認識させる、診療内科を受診
まず、現状がDVであるという事を認識さることです。場合によって、心療内科や精神科への受診の必要が生じます。認識させるための話によっては最悪逆上させるリスクもあるので、伝え方はかなりセンシティブにしなければなりません。

この中でも、広汎性発達障害の場合などは、悪意ない発言である事が多いので意識づけさせるだけでも改善できる可能性があります。

しかし、自己愛性パーソナリティ障害や境界性パーソナリティ障害の場合は、行動療法などが必要となる場合があり、早い改善は見込めません。特に、DVを妻のための行為と認識している場合はより改心が望めないといえます。

別れたい場合

DV夫とは距離を取ることが最も確実です。距離をとり離婚をするほうが確実に身を守る方法となります。DV夫は妻だけに被害が向くわけではありません。子どもらへのDVにつながるリスクもありますので、明白な暴言などがある場合には別れるべきです。

勿論その程度によりますし、DVの背景にある障害によっても家族関係を再構築できるチャンスがありますので、こればかりはDVの状況によって考えなければなりません。

・被害者は自分だと認識する
DV夫と別れるためにまず大切なことは、妻自身が被害を受けているという事を理解する事と距離を取る事が重要です。今の関係は適切な関係ではないと気付くことが始まりです。

・とにかく逃げる、離れる
また、距離の取り方として、自らの実家に帰るなども必要です。そのためには周囲の親族との関係性も重要となります。

・配偶者暴力支援センターに連絡する
距離を取っても、なお追ってくるなどがある場合は、配偶者暴力支援センターや警察を頼るしかありません。

・警察に被害届を出す
夫婦間で大事にしたくないかもしれませんが、そこまでしなければならない場合、早く手を打たなければより危険なDVが忍び寄ります。覚悟を持って接しなければなりません。

DV夫との離婚手順

DV夫との離婚を考えた場合、行っておきたい手順をご紹介します。

証拠を集める

DV夫と離婚をするためには、まずDVをされているという証明が必要です。

・日記をつける
DVの証拠になるわかりやすいデータは経時的な記録です。そのため日記をつけるという事は非常に重要となります。

・録音する
また、音声データとして録音しておくこともデータとして有用なものとなります。

だし、音声データを取るにはICレコーダーやスマホを使用しなければなりませんので、相手にばれない事が大切です。

病院で診断書をもらう

暴力などがあれば、けがなどをしたときに診断書を貰う事も方法の1つとなります。

別居する

また、前述した別居する事も、夫婦関係の破綻を示す証拠となりえます。

弁護士に相談、調停、裁判

証拠をそろえたならば、弁護士に相談していく事が重要となります。調停・裁判に至る可能性はあり、長期化する恐れはありますが継続していく事が重要です。

DV夫の特徴とは?その対処法を紹介します!のまとめ

DV夫の特徴をみるだけでも、妻一人での解決は難しいということがお分かりいただけたかと思います。特徴別に対応は異なるため、まずは一人で何とかしようとするのではなく、自らの安全を考える事が重要です。

正面に受け止めるのではなく、逃げていく事を前提に考えていきましょう。

そして、自分がそのDV夫とこれからどうしていくべきか考えた上で、これからどうするかを決めていく事をおすすめします。