もしこれからエステティシャンを目指してみたいという人は、自分のスキルを磨きながら常にアップデートしていく姿勢が必要です。
なにか一つでも得意な分野を持っていればやりがいが大きく、毎日の仕事にも張り合いが出ることでしょう。
また業務を通じて、クライアントなど多くの人々と触れ合えるので、対人スキルを向上させていく必要性もあります。
本記事では、健康や美容に関する知識も深めながら役立てられるエステティシャンとは、どのような働き方なのかを特集します。
エステティシャンになるための方法と必要な資格についても紹介していく内容です。
エステティシャンをこれから目指している人は、ぜひ参考にしてみてください。
エステティシャンとは、一般的にエステティック(全身美容)業をおこなえる技術や資格を有した人物です。 古くから欧米などでは痩身、脱毛、美白、リラクゼーションなどの美容術として発展してきました。 日本にその内容が紹介されたのは、明治時代に入ってからのことです。 フェイシャルマッサージの手法が米国より伝わり発展してきました。 エステティックという言葉自体は意味があり「美学・美意識」を意味します。 しかし「エステティシャン」「エステティックサロン」は英語ではなく、和製英語として認知されるようになりました。 また、厚生労働省でもエステティシャンの定義が決められ、「エステティック業とは、手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体型を整えるなどの指導又は施術を行う事業所をいう」と公示されています。 既存の美容師や理容師、アイリスト 、ネイリスト、美容部員などにも共通している部分はありつつ「手技又は化粧品・機器等を用いる」「人の皮膚を美化する」と点では、エステティシャンにできることとして特化されているようです。
エステティシャンの主な施術は、手や化粧品、機器を使うことでクライアントの肌や身体型を整えていくものです。 一見すると女性らしく華やかさが目立っていますが、サービス業の一環として地道な作業も受け入れなければ勤まりません。 ここでは、エステティシャンの主な仕事内容を解説していきます。
エステティシャンのおこなう大切な仕事の一つが、来店者への受付業務です。 サービス業の一つなので、接客業はとても重要な意味合いを含んでいます。 実際の施術に入る前段階での応対、そして最終的に会計業務をして見送るまでの流れです。 電話対応なども対象となっています。 近年ではネットでの予約管理のほうが主流かもしれませんが、ブッキングのミスなどないように正確に管理しなければなりません。 会計処理が済んだら次回の予約受付もおこなえれば理想的です。
カウンセリングの仕事は、クライアントの肌や身体の状態を確認しながら、当人からの悩み・リクエストを聞いた上で、施術の流れを決定させます。 初来店するクライアントに対しては、悩みを分析した最適なメニュー提案が重要な位置を示すことになるでしょう。 また併行しながら、料金体制や施術内容の説明もおこなわれます。 他にも、アフターケアの一つとして、自宅での食事や運動などのケアについてアドバイスします。
施術こそ、エステティシャンのメイン業務です。 手や美容機器、化粧品などを使用しクライアントの肌や身体のケアをします。 施術をする部位についてはいくつか種類が区分されていて、フェイシャルエステ、ボディエステ、脱毛などが代表的です。 各部位に関する技能を身につける必要があります。
フェイシャルエステは、顔周りから首・鎖骨周辺のデコルテ部分を集中的にケアします。 マッサージや専用機器を使うことや目的に合わせたアプローチで美肌へと回復させる施術です。 多くの場合、クレンジング剤で肌のメイク汚れや毛穴の汚れを除去し、各悩みに応じたハンドトリートメントマッサージ、パックなどのケアをします。
ボディエステは、顔以外の全身マッサージのことです。 施術方法や使用機械はさまざまなので一概には言い切れませんが、リラクゼーション効果、痩身、むくみ解消、アンチエイジングなどが代表的になるでしょう。
脱毛についても、光脱毛やワックス脱毛など施術が複数あります。 クライアント各位の肌状態や脱毛効果にあわせての施術です。 常に理想の状態に近づくよう自宅でのケアのアドバイスもおこないます。
クライアントの希望などに合わせた化粧品を販売することや、施術の提案をすることもエステティシャンの役目です。 まずは、自身のサロンで販売する商品・サービスに関する知識を熟知した上で、クライアントへの適切なアドバイスができるようなスキルが求められます。 他にも、SNSでの発信やホームページのこまめな更新・管理なども業務の一つです。 新規顧客獲得およびリピートを増やすという双方の働きかけも、エステティシャン自身がおこないます。
エステをおこなう場所・サロンは、常に清潔感をキープしなくてはなりません。 サロン内の掃除、器具の手入れや衛生管理、リネン類の洗濯などは必ずおこなっていきます。 また、提案する化粧品の在庫なども途切れないように管理業務も仕事の一つです。 最新技術の導入の検討や、新商品の発注なども考慮しながら運営していきます。
エステティシャンを志した場合、たくさんのメリットが生まれます。 その中でも代表的なメリットを以下に紹介しましょう。 ● 美意識が高くなりキレイになれる ● 女性の職場環境として活躍できる ● 独立・開業できる
エステティシャンになれば、自然と美意識が高くなっていきます。 なるべくキレイな姿をキープしながらクライアントと接することで、クライアントのほうでも施術後のイメージがしやすくなるはずです。 エステティシャン自身も、肌などのお手入れを入念にしなければ説得力が出てきません。 自分でも常にケアを心がける習慣さえも、仕事の一環として受け止めていくようになります。 エステティシャンにとって、清潔感は必須です。 服や髮の乱れた、濃い化粧などは印象を悪くしてしまうので注意が必要です。 顧客の体に触れる手や爪の清潔さも心がけましょう。
エステティシャンが勤めるサロンは、基本的に女性が占めています。 女性スタッフがほとんどなので、特有の悩みやライフステージなどが実感できるはずです。 男女間のハラスメントの心配もなく働けます。 キャリアアップをしていく姿も目の前で見れるので、女性としてのモチベーションを保持しながら働けることがメリットです。
エステティシャンになった場合の最大のメリットとして、独立・開業をする人も出てくる点です。 自分の経験やスキル次第となりますが、次第に理想とする自分らしいサロンのビジョンも思い描けるようになり、夢を実現できるステージが整えられます。 また、女性として結婚・出産などで一時仕事を離れていた場合でも、あらためて自宅サロンなどを開く人も大勢いるのも特徴です。 自分らしい生き方、ワーク・イン・ライフを実現できるのもエステティシャンだからこそです。
エステティシャンになれば多くの恩恵を受けられるのは事実ですが、デメリットを抱えながらやっていくことも気に留めておく必要があります。 ここでは、エステティシャンに取ってのデメリットについて解説します。 以下の3つが最も顕著でしょう。 ● ノルマによるストレスを受けやすい ● 女性の職場特有な人間関係 ● 体力的に辛い時がある
エステティシャンにとってのネガティブなデメリットとして、ノルマの存在があります。 売上や契約の数字を気にしながら、商品の販売もさせられることがあるでしょう。 成果主義なので、実力次第で給与に反映するメリットもありますが、原則としてノルマは誰にとっても負担に感じてしまう要因です。 以前と比べると少なくなってきてはいますが、この業界についてはまだまだノルマ制が生きています。 就職するにあたって、ノルマに対する考え方を必ず確認した上で、入社の判断をおすすめします。
エステティシャンの職場となるサロンは、女性が多い環境としてのメリットもありますが、相性が合わないとストレスの要因になってしまいます。 女性同士の特有な派閥があることも否めないのです。 人間関係に悩まされるサロンは実際にあるともいわれています。 しかし、入社しないとわからないことです。 万が一、人間関係で悩みが生じた場合は、相談できる相手や他の期間を利用することも念頭に入れておき、転職を考えるといった行動も大切になってきます。
エステティシャンは体力がいる仕事なのもデメリットになるでしょう。 見た目以上にハードな仕事内容だからです。 立ちっぱなしの状態で施術することも日常的ですし、サロンワークでの細々とした雑務や事務仕事もこなさなければなりません。 きっと慣れるまでの間は疲労も感じるはずです。 自分に対するケアをしっかりしながら業務にあたる必要が出てきます。
エステティシャンも仕事の一つである以上、向き・不向きがあります。 考え方次第で変えることはできますが、どうしても相性が合わないと、かえってストレスが溜まってしまい、精神的にも欲はありません。 まずは、自分がエステティシャンとしての特性があって向いているのかを、客観的に観察してみるとよいでしょう。 一般的に、エステティシャンの仕事に向いているタイプは、以下のような条件に当てはまる人です。 ● コミュニケーションスキルがある人 ● 最新トレンドに敏感な人 ● 美容や健康のことが大好きな人 ● 向上心が高い人 ● 体力に自信がある人 ● 精神面が強い人
エステティシャンに向いている人は、コミュニケーションスキルの高い人が目立ちます。 カウンセリングや実際の施術などを通じながら、クライアントに接することがかなり多いので、人見知りするような性格では苦労するかもしれません。 美容を通じながら理想に近づくための提案していくので、相手をいつも喜ばせることが好きな人に最適です。
エステティシャンは、女性の美を追求する仕事という特性があるので、普段から自分もトレンドに敏感であり続けるタイプが理想です。 美容に興味があり新しいものを試してみたい欲のある人ほど、この仕事に向いていると思われます。
エステティシャンである以上は、美容や健康についての高い意識がある人に向いています。 それ以前に、美容や健康に関する内容が大好きで、つい関心を持って接し続けているようなタイプなら最適です。 普段から、最新情報をキャッチしていて、つい試したくなるような性格の持ち主がよいでしょう。 新しい美容法は更新され続けています。 心から、美容や健康のことが好きで好きで仕方ないという人こそ、この仕事をする意義を感じられるはずです。
いつでも新鮮な気持ちを絶やさず、目標を持ち続けることができる人は、エステティシャンに向いているでしょう。 エステの技術・施術が常に刷新されている業界なので、化粧品や器具の最新情報などを学ぶ機会が多くなります。 新しい研究が進むにつれて既存の考えや手法が古いものとされ、どんどん替えられて行くからです。 上質なサービスを提供する意味でも、向上心を保って、最新かつ信頼性のある施術を目指す必要があります。
エステティシャンは、意外と体力が必要な仕事です。 立ちながら体を指圧したり揉んだりするので、腕や手に負担がかかります。 それに、つかれた表情で接客や施術をしてしまうと、顧客は不安を感じてしまうでしょう。笑顔で仕事をしていけるよう、セルフケアにも気を配る必要があります。
エステティシャンは精神的にもタフな人でなければなりません。 顧客の中には、悩みを抱えて来店する場合もあります。 その時に、自分が落ち込んだ状態で接しても、満足のいくサービスは提供できません。 暗い表情で施術をするエステティシャンでは、顧客満足度も上がらずリラックスしてもらえないでしょう。 仕事とプライベートの仕切りをしっかりさせる精神の強さが大切です。
ここ数年、エステティック業界では、事業者数およびスタッフ数が横ばいのままです。 増加しない理由としては、それまでの長い期間での競争激化が原因といえるでしょう。 細かい部分での亀裂や不満・問題が浮上し離職率が高くなり、人手不足が深刻になったからです。 業界全体での待遇改善が求められています。 厚生労働省はこのことを重く捉え「エステティック業における職業能力評価基準」を公表しました。 美容のニーズ自体は衰えることなく普遍です。 クライアントが喜んでくれる専門性の高い知識と技術があれば、益々向上していける業界でもあります。 あとは、そこで働く人々への勤務条件や体制の改善を整えられるサロンが、生き残れるといえるでしょう。
エステティシャンとして仕事をするには、資格取得が必須ではありません。 未経験者でもサロンを開業することや就職することができます。 ただし、無資格では実務経験者と技術レベルの差が縮まらず、やがて評判が悪くなる可能性があるでしょう。 そこで、エステティシャンなど美容に関する資格は取得しておくことをおすすめします。 エステティシャンになりたい人は、以下の資格に注目して検討してみましょう。 ● ダイエットアドバイザー資格認定試験 ● 姿勢コーディネーター®資格認定試験 ● つぼトレーナー資格認定試験 ● ウォーキングアドバイザー資格認定試験 ● トレーニングサポーター資格認定試験
ダイエットアドバイザー資格とは、ダイエットについての基本的知識を認定する資格です。 ダイエットの根本的意味から始まって、太りやすい原因、食事バランス、食べ物別の栄養素、注意すべき食べ物、水の飲み方、プロテインの摂取方法といった一連の基礎知識を有しています。 資格取得後には、自宅やカルチャースクールなどで講師活動も可能です。
姿勢コーディネーター®資格とは、正しい姿勢に関する基本的知識を得ていることを認定する資格です。 心と体の関係から始まって、美しい姿勢と顔のゆがみの関係、良いスタイルの定義、ホルモンバランスなどの関係、美姿勢を保つ方法の専門的知識を学んでいることを証明します。美姿勢と心の関係は、ポジティブ思考にも影響を与えます。姿勢を良い状態にすることでライフスタイルの改善にも役立つでしょう。
つぼトレーナー資格は、東洋医学に基づいた経絡と経穴の正式な理解をしていて、つぼの位置や押し方、その効果・効能などの知識を得ていることを認定します。 西洋医学とは対照的に、東洋医学では、身体の不調や悩みに応じ、つぼ押しによる緩和や改善が期待されています。 近年ではかなり注目を浴びている民間療法なので、人気が高まっているのも特徴です。 資格取得後には、健康・美容関係の仕事に活かせるでしょう。
ウォーキングアドバイザーとは、ウォーキングによる有酸素運動効果や心身への影響、健康増進、ダイエット、生活習慣病の予防についての幅広い知識を理解していることを認定した資格です。 一般的にウォーキングは誰でも手軽に始められる運動ですが、意外と奥深くて学ぶことも多いとされています。 効果や楽しさへの一層の期待を寄せるためにも、本格的な知識と技術を持った人材が必要です。
トレーニングサポーター資格とは、主に筋力トレーニングの基礎知識があることを認定した資格です。 運動生理学・解剖学・栄養学などの各学問を基に、トレーニングプログラムの設計、実践的トレーニング技術の伝授、コミュニケーションスキルの習得などを目指しています。 道具の取り扱い方、トレーニング前後の食事と適した食品の知識、プロテインの選び方、有酸素運動やストレッチに関する知識も求められるでしょう。
エステティシャンは、女性の美への追求をサポートするための仕事として成立しています。 好んで施術を受ける習慣を持つ女性も多いので、職業としては普遍的なものとなってきました。 実力や努力次第で、自分の仕事として誇れるようになれます。 しかし、業界特有な問題も浮上し、就業者の流入も激しいといった負の面も抱えてきました。 徐々に改善されつつありますが、まだまだ完備しているとは言い切れません。 本当に美意識があって、かつ他者を変化させることに喜びを感じる人に向いているでしょう。 もし、エステティシャンになりたいと決めたら、自分自身も生まれ変わって、常に技術の向上や最新情報に敏感になるよう心がけてください。