タイの伝統医学について

タイの伝統医学について

記事作成日:2023.06.05
タイの伝統医学について

タイの伝統医学は、インド伝統医学のアーユルヴェーダや、中国の伝統医学である中医学の影響を受け、時間をかけて確立されました。2,500年の歴史があると言われています。タイ伝統医学には、タイ古式マッサージをはじめ、伝統的な処方、薬草学、助産婦学の4つの分野があります。つまりタイ伝統医学を知ることは、タイ古式マッサージやタイハーブを理解する助けとなります。
近年、タイ古式マッサージや、タイハーブが人気を博して一般的になってきています。それらに強い関心を持つ人も増えてきました。あなたもタイ伝統医学について知りたいと思いませんか?ここでは、タイ伝統医学の基本的な理論についてまとめます。

目次

タイ伝統医学

タイ伝統医学では、自然も人体も分離しているものではなく、相対関係にあるとされます。そしてどちらもタートと呼ばれる4大要素で成り立っていると考えられています。ではその4要素とは何でしょうか?次の4つです。
土(地)・水・風・火
そして、これらの4つの要素が調和することが大切だと考えられています。

1-1人体も4要素(タート)で成り立っていると考えられている

繰り返しになりますが、タイ伝統医学では、自然も人間の身体も、これらの4要素で構成されていると考えられています。健康を保つためには、人間の体内でこれら4要素が調和すること、自然環境でも4要素が調和すること、さらには人間が自然環境と調和して生きることが必要とされます。
人間の場合、4つの要素が正常に揃っていると、どれか1つの要素が際立つものとされ、それがその人の性格や性質を作っていると考えられています。それを「ジャオルアン」と呼びます。ジャオルアンは生まれつき決まっているとされますが、生活環境や食生活で変わり得るとも考えられています。自分のジャオルアンを知ることは、健康のためにも役立ちます。
さて、タートに話を戻しましょう。では調和が取れた状態とは反対に、これらのタートのいずれかが過剰になったり不足したりして調和が崩れるどうなるのでしょうか?自然界の場合は天変地異が起こり、人間の場合は病気になってしまうと考えられています。人間ならば治療が必要な状態になってしまうのです。
では、これら4大元素について個々に見ていきましょう。

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4大元素理論

2-1「土」

「土(地)」は、固形のものを指し、燃やすと土に返る性質の要素です。タイ語では「タート・ディン」と呼ばれます。タイ伝統医学では、次の20の器官が「土(地)」とされています。

髪・毛・爪・歯・皮膚・筋肉・靭帯・骨・骨髄・脾臓・心臓・肝臓・筋膜
腎臓・肺・小腸・大腸・新しい食物・古い食物・脳と脊髄

土がジャオルアンの人は、次のような性質があるとされます。

体格が大きい 肌はやや黒い 髪も黒くて多い 声が大きくよく通る 骨が丈夫で太い  体重が重い 肥えていて頑丈 各器官も健康

2-2「水」

体内にある液体要素を指します。流れたり浸透したりする性質を持つ要素です。タイ語では「タート・ナーム」と呼ばれます。全部で12あります。 >胆汁・涙・痰・リンパ液・血液・汗・脂肪・膿・唾液・鼻水・滑液・尿

水がジャオルアンの人は、次の性質があるとされます。

人体や各器官は健康 髪が美しく量が多い 肌は明るくハリがある 目に涙が多くきれい
歩き方のバランスがよい スタイルがいい 行動がゆったり 寒さ・暑さ・飢えに強い
性欲があり子どもが多い

2-3「風」

土と水は体内の器官や液体を指しましたが、この「風」の要素は、具体的な部位や物質を差すものではありません。目に見えない体内の流れを指します。動くことができ、軽い性質を持ちます。タイ語では「タート・ロム」です。具体的には6つの流れがあるとされます。

下半身→上半身への流れ・上半身→下半身への流れ・体内全体の流れ
腹腔(横隔膜から下のお腹一帯)内の流れ・胃と腸内の流れ・呼吸の流れ

風がジャオルアンの人の性質です。

乾燥肌 痩せ型 髪は薄い 関節を動かすと音を立てる 嫉妬心が強い 臆病
熱しやすく冷めやすい 寒さに弱い 不眠 おしゃべり 声は低く不明瞭
性欲はあまりない 子どもは少ない

2-4「火」

この「火」の要素も、風と同じく具体的な器官や物質を指すものではありません。熱エネルギーを指します。タイ語では「タート・ファイ」と言います。具体的には次の4つとなります。

体温・高熱・老化・消化

火がジャオルアンの人の特徴です。

髪・体毛が柔らかい 若白髪になりやすい お腹がすきやすい 口臭や体臭がある
忍耐力に欠けせっかち 関節のしまりが悪い 性欲は中ぐらい 暑さに弱い よく食べる

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伝統医学のタイ古式マッサージ

3-1タイ古式マッサージを用いて4要素のバランスをよくする

タイ伝統医学に基づくタイ古式マッサージでは、これら4つのタートすべての流れをよくしたり整えたりすることによって、バランスを改善し調和を目指します。
タイ古式マッサージは、4大元素のうち特に「風(タート・ロム)」と深いかかわりがあります。滞ったエネルギーの流れを改善してエネルギーや栄養が全身に行き渡るようにしつつ、老廃物が人体の中に溜まらないようにします。マッサージはストレッチと組み合わせて施されますが、ストレッチは関節に溜まった風を追い出すためのものなのです。流れをよくするということになります。
そしてタイ古式マッサージは、血液やリンパ液の流れを改善することで、体内の調和を取り戻し精神と肉体の健康な状態を保ちます。これは「水(タート・ナーム)」の流れを正常化するということを意味します。また老廃物の排出を促し尿として体外に出すことも、「水(タート・ナーム)」の流れを整えていると言えます。
また、マッサージとストレッチによって、骨や筋肉、内臓などの歪みを矯正します。これは「土(タート・ディン)」を整えることになります。バランスが改善された結果、リンパ液や血液の流れもよくなります。
その他、ゆっくりと呼吸を整えてストレッチを行いますが、この結果精神的にリラックスしていきます。これは高熱(=感情)を鎮めることであり、「火(タート・ファイ)」を鎮めることになります。また、タイ古式マッサージは冷え性にも効果があります。これは「火(タート・ファイ)」の1つ体温が正常になったと言えるでしょう。

3-2センと呼ばれるエネルギーラインを刺激する

タイ伝統医学では、人体の奥にエネルギーラインがあるとされ、それは「セン」と呼ばれています。4要素はセンを通じて流れると考えられています。センは7,200本存在するとされますが、特に重要度が高いと考えられているセンが10本あります。タイ古式マッサージの施術は、これらのセンに沿ってマッサージを行います。
そうすることで、エネルギーの流れを活性化し、正しい方向へと矯正します。その結果、タイ古式マッサージはこりを揉みほぐすほか、高血圧や冷え性などの体質改善や肩こり・生理痛など生活習慣病の改善、デトックス効果、心身のリラックス効果など多くの効果が生まれます。これらの効果の中には、タイの保健省が認めているものもあります。マッサージも医学と考えられている所以です。

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タイの伝統医学についてまとめ

タイの伝統医学では、自然や人間の構成要素を土・水・風・火の4大元素に分けて考えます。そしてタイの伝統医学に基づくタイ古式マッサージでは、エネルギーラインであるセンを刺激することで、それらタートの流れを改善しバランスを整えます。その結果、心身に様々なよい効果をもたらします。

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