
ピラティスは、ドイツ人看護師のジョセフ・ピラティス氏が開発したエクササイズです。
第一次大戦での負傷兵のリハビリ用として考案されました。
そのため、病床の状態でもできる限りのエクササイズとして考え抜かれています。
それがやがて幅広い人々にも気軽に始められるよう工夫が施され、世界中に広まりました。
高齢者や運動に自信がない人でも、自分のペースで負担を感じずにスタートができます。
ピラティスは、大別すれば「マットピラティス」と「マシンピラティス」に2分できますが、まずはそれぞれの頭頂や違いなどを理解してから取り組むことが重要です。
本記事では、ピラティスの種類について解説していきます。
これからピラティスを始めてみたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
ピラティスを区分すると大きく2種類に別れます。
まずは、自宅でも一人でエクササイズが可能な「マットピラティス」、もう一つは、専用機器を利用する「マシンピラティス」です。
マットピラティスの場合、全身を満遍なく鍛える自重トレーニングの要素が強く、正しいフォームを身につけながら筋力や柔軟性の向上を目指すものです。
初心者や運動に自信がない人にとっては、動作の種類によってキツさがあるかもしれません。
どうしても挫折する可能性が考えられます。
しかし、自宅ですぐに取り組める気軽さと、専用マット一つあればエクササイズができるという点で、ピラティスの主流のエクササイズとして親しまれてきました。
いづれにせよ、マットピラティスを避けてエクササイズは成立しないものと考えるとよいでしょう。
一方で、マシンピラティスは専用マシンを使ってエクササイズをする方法です。
各人の筋力に合った負荷をかけてエクササイズができます。
フォームの維持を機器のほうでサポートしてくれるため、初心者が初めて取り組んでも正しい動作で入れるので、画期的な方法とされています。
ただし、機器の導入を自宅でおこなうことは一般的に難しく、マシンを導入したピラティススタジオへ通う方法でしかできないデメリットがあります。
マットピラティスは、身体の重さを利用しながら専用マットの上でエクササイズをします。
身体をインナーマッスルを駆使しながら、体幹の筋肉強化を目的とした動作が中心です。
流れるような動きを意識しポーズを取りながら、全身の筋肉を使って運動します。
プロップスやピラティスボールなどの道具を使用することもありますが、基本的には専用マットだけあれば、自宅・屋外問わず好きな場所でエクササイズができて、取り組みやすい点が特徴です。
マットピラティスをおこなうと得られる効果は、以下のようなものが考えられるでしょう。
● 姿勢の改善
● 自律神経のコントロール
● ストレスの解消
マットピラティスをおこなうことで、骨盤周り・背骨の深部に位置するインナーマッスルを強化します。
インナーマッスルを鍛えれば、骨盤や背骨のゆがみ矯正になり、姿勢を改善できるでしょう。
姿勢が改善されれば呼吸も自然と正しくなり、さらなる効果を得られる可能性もあります。
例えば、肩こりや腰痛の改善・ストレートネックや猫背の改善・美しいスタイル作り・基礎代謝向上などが期待できるでしょう。
また、自律神経の調整がしやすくなり、リラックス状態やリフレッシュ状態を意識しやすくなります。
マインドフルネスの要素も含まれるので集中力も高まるでしょう。
単に身体の健康のためだけではなく、メンタルヘルス向上にも役立ちます。
マットピラティスの特徴で顕著なことはいくつもあります。
● マット1枚あれば場所を選ばない
● エクササイズのバリエーションが豊富
● 道具を使用すると相乗効果がある
ピラティス専用マットは手軽に安価で購入できます。
1枚あれば、自宅や狭い場所でもエクササイズが可能で、初心者が気軽にチャレンジできるでしょう。
近年では、オンライン動画を活用した自宅でのエクササイズが一般的です。
マシンピラティスは、専用マシンを使用しながら体幹を中心に鍛え、身体の柔軟性向上などを促すエクササイズです。
マシンピラティスでの専用マシンは、重力と反発する抗力の関係性を考慮して設計されたもので、マットピラティスでの自重を支えるスキルが困難な人、とくにピラティス初心者にとっても、負荷を調整しながらエクササイズができます。
マシンのバネの重みが調整可能なので、負荷の大小を自由に調整することが可能です。
どちらかといえば、アメリカでピラティスといえば、マシンピラティスのほうをイメージするほどスタンダードな方法でもあります。
ピラティス専用マシンも数種類あって、トータルで数百種類のエクササイズが実現できるのも特徴です。
近年ではピラティスの知名度が上がって、マシンピラティスの体験コースも増加傾向です。
マシンピラティスには、姿勢をよくすることやインナーマッスル強化などの利点が目立ちますが、その効果はさらに広がっています。
実は、マシンピラティスを実感した人には、メンタルやマインドの側面から、以下のような効果を実感したという声が多いのです。
● 新しい視点が生まれる
● 探求心が芽生える
● ものごとを冷静に判断できるようになる
● 集中力が向上する
● チャレンジ精神が芽生える
マシンピラティスそのものが非現実的な場所でおこなわれるため、新鮮な気持ちで取り組めることもかなり大きな要因だと考えられます。
それに、比較的初心者でもうまくエクササイズができるので、達成感が味わえて心地よい気分になれることが効果の理由といえるでしょう。
マシンピラティスでは、フォームのサポートが可能となります。
床にマットを敷くマットピラティスでは、滑り止めが利くことで安定したポジションでエクササイズができます。
一方、マシンピラティスの場合は、マシンのストラップやバーなどに足や手を置きながら、正しいポジションやフォームでおこないます。
スプリングの抵抗やマシンのサポートを受け続けることで、正確な動作を身につけることができるのが利点です。
体幹とフォームが安定する画期的な方法といえます。
マットピラティスはポピュラーな実践方法なので、ピラティスに興味を持った人は必ずおこなうものと考えてよいでしょう。
つまり、向いている向いていないにかかわらず、取り組むことがベーシックなものと捉えてください。
それでも、マットピラティスに向いているタイプの人も存在します。
マットピラティスに相応しいタイプは、スクールやスタジオに出かけることよりも自宅でトレーニングしたい人、あるいは事情があって自宅でしかトレーニングできない人に向いています。
大掛かりな器具を使わなくても実践できることから、自宅トレーニングに適しています。
専用マットさえ購入しておけば、場所を選ばずにできるのがメリットです。
スペース自体も広く取る必要がありません。
自宅の一角で、移動する動作もあまりないので支障なくトレーニングできるでしょう。
外部や周囲の雑音を気にすることなく、マイペースで取り組めます。
オンラインでのコンテンツも豊富にあるので活用しやすい点もあげられるでしょう。
マットピラティスは、自分の時間や費用に制限がある人に向いています。
自宅でおこなうのが主流なので、ジムやスタジオに通う必要がありません。
わざわざ外出して通うための時間もかからないのがメリットです。
また、マットピラティスは基本的に高額な器具を必要としません。
そのため、エクササイズでの予算面で有利です。
ジムのメンバーシップ費用やピラティスマシン購入費用など一切不要で、マット1枚さえあればコスパの良いトレーニングとなります。
また、マットピラティスは1回あたりの所要時間も短いので、1時間以内でしっかりしたエクササイズが成立します。
日々忙しい人でも隙間時間で取り組めるのが魅力です。
オンラインのレッスン動画などを利用できるので、忙しい人や予算に制限がある人におすすめできます。
マットピラティスは、ストレス軽減をしたい人におすすめです。
胸式呼吸法やゆっくりのテンポでの動作が中心で、心身リラックスを促しながら身体を動かすことができます。
徐々に心も落ち着きを覚えるとされているからです。
ヨガにも類似していて瞑想的要素もあることが大きいといえるでしょう。
また、マットピラティスはコアの筋力強化で姿勢の改善に役立ちます。
肩こりや腰痛からのストレスを和らげ、身体ともにリフレッシュさせることに寄与するのが魅力です。
集中力も必要とするエクササイズでもあり、日々の雑念から気分転換できリラックスした状態を保てます。
一通りの流れが把握できれば、自分のペースでリフレッシュできるのが魅力です。
ピラティス全般にいえることは、あまり向き不向きにこだわりがなく、誰でも取り組めるところが魅力です。
まずは、マットピラティスを取り入れてから、マシンピラティスに入るヒトの傾向が多いようです。
それでも、マシンピラティスにも向いているタイプが存在します。
マシンピラティスは強力な抵抗があり、マットピラティスよりも大きな負荷をかけて筋肉が鍛えられることが大きいといえます。
しかも、一般的な筋トレのようにダンベルやバーベルなどを使う必要がなく、手軽に取り組めることが魅力です。
特定の筋肉を効果的に鍛えられる設計が施され、腹筋・背筋などの狙った筋肉群を的確に捉えてエクササイズできます。
そのため、筋力向上を目指す人にとっては、マシンピラティスのほうが効果的です。
インストラクターの指導の下で実践するため、正しい姿勢や動作フォームを学べます。
自己流では身につかないアプローチも可能となるでしょう。
プログラムの組み立ても柔軟で、目的に合わせながら特化メニューを組むことができます。
このように、ピラティスの効果を最大限に引き出すことに最適です。
マシンピラティスは、関節への負荷を最小限に抑えることができます。
関節への大きな負担を避けるよう設計されているのが特徴です。
腰・膝・肩関節などに負担をかけたくない人にとっては、重力に逆らうことなく安心してエクササイズができるでしょう。
実はマットピラティスよりも安全で無理のない動作が可能です。
インストラクターの指導の下で、さらに人体の動きに合わせた設計をされているため、関節の可動域へのダメージも少ない方法とされています。
マシンピラティスは、関節への負担が少ないことから、ケガや故障からの回復・改善に役立ちます。
マシンを使うことにより強さのコントロールができ、関節への負荷は最小限に抑えることが可能です。
そのため、リハビリにも適したトレーニングが実現できるでしょう。
また、目的の筋肉を的確に捉えて鍛えられます。
とくにリハビリでは、特定の筋肉群を集中的に強化する必要があるので、マシンピラティスでも応えられる設計です。
正しい動作フォームを習得し、インストラクターの助言の下で安全にエクササイズができます。
回復の状態に合わせながら強度を変更していくことも可能です。
マットピラティスとマシンピラティスには、美容や健康に効果的なメリットがたくさんあります。
しかし、それと同時にどちらも多少のデメリットが生じていることも念頭に入れておきましょう。
ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。
マットピラティスでのデメリットで最も顕著なことは、エクササイズ自体は初心者にとって難しい場合も考えられる点にあります。
一般的に気軽にできるフォームが中心ですが、やはり個人差はどうしても生じてしまうでしょう。
筋力が少ない人の場合には、正しいフォーム一つ取るのに苦労することがあります。
しかも、フォームが正しくなければ効果が半減してしまいかねません。
マットピラティスは基本的に自宅で独自にエクササイズするのが主流ですが、可能であればまずは、ジムやスタジオでレッスンを受けてみてから判断してみましょう。
マシンピラティスでのデメリットは、なんといっても大掛かりな設備の必要性です。
一般宅に設置できる規模ではないことで、手軽には継続できないという点が考えられるでしょう。
最近では、折りたたみ式のマシンも登場してきましたが、まだ価格帯もリーズナブルではありません。
30万〜50万円位の投資の見込みを考えなくてはならないからです。
普及率も低く、マシンピラティスが設置されているスクールに通う方法がポピュラーとなっています。
マットピラティスのレッスン料よりも高めなので、コストがかかるというデメリットです。
先述のように、ピラティスはマットピラティスとマシンピラティスの2種類に大別されますが、そこから派生してさまざまなエクササイズも登場しました。
さらにアレンジの加わったエクササイズが開発されて、ピラティスの世界はますます広がっています。
ここでは、さらに細かいピラティスの種類を解説していきましょう。
ボディメイキングピラティスとは、ベーシックなピラティスを展開しつつ、シェイプアップなどの美容効果に注目した内容で構成されているエクササイズです。
名称自体はあくまでも総称で特定のものではありませんが、ダイエット効果やシェイプアップ効果を期待する人向けのレッスンメニューを組んでいます。
そのため、女性向けに特化して実施しているものは、ほぼ該当すると考えてよいでしょう。
マタニティピラティスは、出産前後の妊産婦向けのエクササイズです。
出産前の体力維持、出産後の骨盤調整、精神的な安定などを目的としています。
妊娠期でも、軽い運動であれば疲労回復力をつける意味で効果的なことから、リハビリ要素を含んだ内容に特化し、女性のサポートのために開発されたものです。
ただし、おこなえる時期なども制限があり、専門医に相談してから実践することを推奨しています。
シニアピラティスは、加齢による身体機能の衰えに対応し、機能維持や回復を目指す内容を中心におこないます。
筋力バランスの調整、姿勢やゆがみの改善など、シニア世代が健康に過ごせる身体作りを目指したエクササイズです。
器具やマシンを用いることもあり負荷を軽減し、マットピラティスのメニューも負荷が弱いもので構成されています。
高齢者が負担を感じない程度に実践できるプログラムを組んだものです。
ヨギラティスとは、ヨガとピラティスの運動効果を組み合わせた新感覚のエクササイズです。
まだそれほど浸透していないので実際におこなっている人は少ないかもしれません。
韓国で認知され始めたものといわれています。
おそらく今後は日本国内でも発展しそうな流派の一つです。
ポップピラティスとは、米国フィットネス業界でも人気のインフルエンサー、キャッシー・ホー氏が考案した最新ピラティスです。
洋楽に合わせながら独自エクササイズプログラムを進行させます。
エアロビクスを彷彿させるイメージで、部位ごとに1ヶ所に集中しながら、有酸素運動なども取り入れたものです。
エクササイズ後の爽快感は十分に感じられます。
原則として強度の高い動きが多いのですが、楽曲に合わせながら前向きにトレーニングができることが特徴です。
ピラティスは、胸式呼吸をしながら交感神経を刺激し、身体の深部にあるインナーマッスルを鍛えるエクササイズです。
表面の筋肉へのアプローチよりも、コア部分にあるインナーマッスルを重点におくことで、姿勢の改善や基礎代謝のアップをさせる効果があります。
もともとは、重症兵へのリハビリとして考案されたものですが、時代とともに改良も加えられ、今では年齢性別を問わずにトレーニングできるようになりました。
マットピラティスとマシンピラティスの2種類をメインとしながら、さまざまなアイデアでアレンジした新しいエクササイズも登場しています。
どれに取り組めばいいのかは個人差もあるので一概には言い切れませんが、初心者向けとされているのはマシンピラティスです。
もちろん、マットピラティスも主流なので、正しく取り組めば効果が期待できるでしょう。
現代人は疲労気味です。
そろそろ体質改善をしたいと考えている人は、ぜひピラティスに取り組んでみてください。