
1920年代に登場したピラティスは、負傷兵のためのリハビリという意味でスタートしました。
今では世界的に健康維持のためのエクササイズとして定着しています。
種類としては、マットピラティスとマシンピラティスに大別できるでしょう。
現在のところ欧米ではマシンピラティスが主流であり、日本ではマットピラティスのほうが根強く人気があります。
住宅事情も考えれば、マット1枚でできる手軽さが理由といえるでしょう。
また、ピラティスを体験したことのないビギナーにとっても、マットピラティスは気軽に入りやすい印象があります。
そこで本記事では、 マットピラティスにスポットを当てて、基本的な概念や効果、魅力について解説する内容です。
これからピラティスを始めてみたい入門者の人は、ぜひ参考にしてみてください。
マットピラティスとは、その名が示すようにマットの上でおこなうピラティスのエクササイズおよびレッスン形式のことです。
欧米諸国では、ピラティスと聞けば専用マシンをつかうマシンピラティスが一般的ですが、日本の場合、マットピラティスが圧倒的に普及しています。
マットピラティスの場合、自重(自分の身体の重さ)を利用して、専用マットの上で流れるようにエクササイズを繰り出していくエクササイズです。
一見すると、古典的なヨガの内容にも似ていますが、歴史や概念は明らかに別物として誕生しました。
マットピラティスは、マット1枚分が敷けるスペースさえあれば、どこでもできるエクササイズです。
公園、ビーチなどの屋外、スポーツジム、公民館といった場所が、すぐにレッスン場となります。
また、日々の仕事の合間や、レジャーの途中でも気軽にできるでしょう。
スタジオに通うことなく、自宅で動画レッスンを受けることもできます。
ただ、最初はできる限り街の教室に通って、基本的な動作のレッスンを受けたほうが確実で、正確なエクササイズを実現できるでしょう。
マットピラティスは専用マットだけあれば手軽にエクササイズができることがメリットの一つです。
そのため、日本では狭い住宅事情も考慮すれば、マットピラティスのほうが主流となった理由がわかります。
ところが、本来はマットピラティスのほうが、マシンピラティスよりも難易度が高いとされているのです。
マシンピラティスは、専用マシンのアシストにより動きやすく初心者でも効果が出やすいとされています。
つまり、マットピラティスとマシンピラティスには効果や特徴などにメリット・デメリットがあるということです。
マットピラティスは、専用のマットが1枚あればできるエクササイズですが、それだけではなく、小道具を使ったエクササイズも準備されています。
それらは、「プロップス(props)」という総称で呼ばれているものです。
主なプロップスには、ピラティスリング(レジスタンスサークル)・バランスボール・ピラティスバンド(フレックスバンド)・フォームローラー・ストレッチポールといったものがあります。
これらをうまく使い込むことで、さらに狙った身体部位を的確に刺激できるので、エクササイズが相乗的に効果がでるでしょう。
負荷を強化しながらアプローチが可能です。
マットでのエクササイズを主流としながら、徐々にプロップスを取り入れるようにしていくと、バリエーションが豊富になります。
マットピラティスは、床上や屋外なら地面でのピラティスのことを指します。
ピラティス用のマットを敷いて、体重を利用しながら体幹を中心に全身の筋肉を鍛えます。特別な器具を使わなくてもおこなえるエクササイズです。
ここでは、マットピラティスの主な特徴をさらに詳しく解説します。
マットピラティスはマシンピラティスよりも手軽で、リーズナブルな点が特徴の一つといえるでしょう。
マシンピラティスを始めると、費用が少しかかります。
スタジオへ通歌目の交通費も含め、レッスン料金も高めの設定になっています。
その点、マットピラティスをおこなえれば、特別な器具を持っていなくても、まずは自宅でも開始することが可能です。
マットピラティスは、自分の体重(自重)を支えながらおこなうエクササイズです。
仮に、仰向けで手足を持ち上げた場合、からだの重みを受け止めるにはコア(腹部)で支える必要があります。
エクササイズのプログラムのほとんどは、常に自分の重さを自分自身で支える動作ばかりです。
うまくコントロールしながら連続していく動きが特徴といえます。
マットピラティスの特徴の一つは、身体の全体を鍛えるエクササイズが豊富にある点です。
マットピラティスでは、いくつかのポーズを連動させていきます。
その過程で、全身の筋肉をまんべんに使うことを工夫しているためです。
ボディラインを整えたい人にとっては、均整の取れた美しいスタイルが実現するでしょう。
一方、マシンピラティスのエクササイズの場合、大型の機械を使用します。
マシンのスプリングを利用しながら専門性の高い動きになり、腕・肩・背中・腰などへピンポイントで集中させて鍛える方法です。
部分的に強化したいのであればマシンピラティスを利用し、全身をまんべんなく整えたいのならマットピラティスというように、目的に応じたエクササイズ内容に変えればより効果が期待できるでしょう。
マットピラティスは、特定の基本動作の連動によって、バランスを保ち筋力を整える目的のエクササイズです。
基本動作を正確に進行することで効果を最大限に引き出します。
基本動作は、ニュートラルポジション、ポーズチェンジの方法などが考えられるでしょう。
ここでは、おもなマットピラティスの基本動作を解説していきます。
ピラティスは、ニュートラルポジションが基本です。
骨盤や背骨が自然な状態に位置され、重心が安定しています。
ニュートラルポジションを維持し体全体のバランスが保っていれば、その後のエクササイズでも効率的に鍛えられるでしょう。
ニュートラルポジションが崩れてしまうと、エクササイズの途中で余計な負荷がかかり、効果の半減やケガなどのリスクも高まります。
ニュートラルポジションを作るポイントは、骨盤の位置が大切です。
前傾や後傾にならず自然なカーブを描くように意識しましょう。
背骨が自然な形になっていることで、体全体のバランスが取れて効率的に筋肉が動かせるからです。
● 椅子に座った状態のままお尻の下に手を入れ坐骨を確認しましょう
● 先端が尖った2つの骨が坐骨が座面に突き刺さったイメージをします
● 背筋を伸ばし後頭部・肩甲骨・骨盤の3点が壁に密着するイメージします
● 腰に手のひら1枚分スペースが空く状態をキープしましょう
頭からつま先まで一直線のイメージで姿勢を整え、体軸がぶれず安定した状態にします。
また、呼吸と連動した動きにも入りやすくなるでしょう。
ニュートラルポジションを維持しながら、呼吸と動きに気を配ることになります。
適切な呼吸ができていれば筋肉に酸素が供給されエクササイズの効果が高まるからです。
息を吸いながら準備、吐きながら動作をするといった基準になり、体幹部の安定も得られます。
心身ともにリラックスした状態を心がけて力まずに、自然なリズムで呼吸することを意識しましょう。
ピラティスでは、常に呼吸法が重要な役割を果たします。
基本的には「胸式呼吸(きょうしきこきゅう)」と呼ばれる方法で、筋肉を働かせるために血流や代謝の活性化につながる方法です。
交感神経を優位にすることができ、リフレッシュ効果が期待できるでしょう。
エクササイズの実践の歳はもちろん、g普段より胸式呼吸を意識することが大切です。
胸式呼吸の方法は、以下のとおりです。
● 顎を軽く引き背筋を伸ばし、両手を軽く肋骨に添えましょう
● 鼻から息を吸い、肋骨が前後左右へ広がる意識をします
● お腹を凹ませて胸で吸っていきましょう
● 肩を落としながら口から息を吐き、お腹をさらに凹ませます
● お腹は膨らまさないように注意しながら数回繰り返しましょう
胸式呼吸の注意点は、お腹がフラットな状態から凹ませる意識です。
常に胸(横隔膜より上)を風船のように膨らませます。
息を吐く時は吸うよりも時間をかけながら、背筋を伸ばすように意識しましょう。
インプリントポジションは、ニュートラルポジションのまま骨盤から床に仰向けの姿勢になった状態です。
● 腹筋を使って背中を引き寄せるイメージをしましょう
● 腹部が斜めのラインになるよう腰を床に近づけます
● 腰と背骨が全て床についた状態にしましょう
腰の後ろを伸ばすように背骨を床へ近づけます。
インプリントポジションは体幹を安定させる役目もあり、あらゆる動作の入口にもなるので、必ずマスターしましょう。
ピラティスでは動作と動作の間をスムーズに進行することで、一連の流れのようなエクササイズをします。
連続的に動作が繰り出され、体全体を効果的に鍛えます。
ポーズチェンジは、ニュートラルポジションの意識、呼吸と動作の一体化が重要です。
次の動作に移る前に現在のポジションを確認しながら、バランスを常に確認します。
やがて呼吸に合わせながらゆっくりと移行するといった流れです。
とにかく慌てず急がないことが成功のポイントといえるでしょう。
むしろ、自分が思うよりもさらにゆっくりとしたペースで動作をします。
他にも、無駄な動きが入らない意識も重要です。
エネルギーを効率的に使うことで、エクササイズの効果をに引き出せます。
流れるようなポーズチェンジのテクニックがマスターできれば、全体が調和の取れた動きになるでしょう。
マットピラティスには、いくつかのメリットや魅力があります。
その気になれば、自宅にて初心者でも無理なくエクササイズできるでしょう。
では、マットピラティスのメリットについて解説します。
マットピラティスの最大のメリットは、原則として特別な道具を用意する必要がないことでしょう。
ピラティス専用のマットが1枚あればどこでもできます。
マットの価格帯も1500~3000円程度で購入できるので、コスパがよいことも魅力です。
足音などのハードな動きもなく、騒音を出すことがありません。
賃貸住宅でも安心してエクササイズできるでしょう。
マットは持ち運べるので、公園・ビーチなどの屋外でも実践できます。
ピラティスでは、オーソドックスなエクササイズは34種類とされていますが、さらに進化を遂げて、豊富なバリエーションがあります。
そのため難易度もさまざまにあるといえるでしょう。
もし、ある特定の姿勢が難しいと感じたら、やり方をアレンジしながら難易度を低くする方法も考えられます。
まず初心者は、簡単なエクササイズから始めましょう。
呼吸や姿勢などの基礎を固めることが大切です。
やがて中級・上級のエクササイズへとチャレンジし、より自分にあったカスタマイズをしていくようにします。
マットピラティスは、さほど大げさにならない程度に小道具を使ったエクササイズも可能です。
それらの小道具は「プロップス(props)」と呼ばれています。
自重だけでは鍛えにくい部位には、プロップスを応用し効率よくエクササイズすることができるでしょう。
プロップスの種類としては以下の通りです。
● セラバンド・・・負荷調整ができる伸縮自在なゴム製バンド
● マジックサークル・・・弾力のあるリング状の器具で太ももや腕などを鍛えられる
● フォームローラー・・・筒状で表面が凹凸状の器具、柔軟性向上に役立つ
● オーバーボール・・・20~25cm程度のボール、体幹の訓練になる
自重に任せたエクササイズでも十分ですが、プロップスをうまく活用すれば、マットエクササイズだけでは出せなかった効果が期待できるでしょう。
エクササイズ自体のバリエーションが広がるので、さらにピンポイントでアプローチが可能です。
一見すればいいことだらけのマットピラティスですが、メリットがある分、デメリットも必ず存在します。
ここでは、マットピラティスのデメリットについて解説していきましょう。
マットピラティスの特徴は自分の力(自重)で姿勢を保持する必要があり、正確な動きが求められます。
やり方を間違えると、効かせたい場所に効果が出てきません。
最初の時点で、ある程度の筋力を持っていないと姿勢の保持が難しい点がデメリットといえるでしょう。
効果を十分に感じるためにも、筋力強化を目的にしながら進めていく必要があります。
マットピラティスの場合、上半身のインナーマッスル強化を重点的にするエクササイズです。
そのため、下半身や腕といったピンポイントへの効果は、マシンピラティスでのエクササイズには敵いません。
もし。スポーツ競技でのパフォーマンス向上や特定のリハビリを目的にするのであれば、よりエクササイズが豊富にできるマシンピラティスのほうをおすすめします。
ピラティスは大きくマットピラティスとマシンピラティスに区分できますが、もしマットピラティスに興味がある場合は、以下の内容に向いている人がより効果的です。
ここでは、マットピラティスに最適なタイプを解説していきます。
コストや手軽さが重視という人は、マットピラティスがおすすめです。
中でも、首都圏のピラティススタジオでレッスンをするとした場合、1レッスンの料金は平均2500円程が相場といえるでしょう。
もちろん自宅で動画などを視聴しながらおこなえば、さらにコスパがよくなります。
日頃、運動やトレーニングに興味があって自信を持っている人は、マットピラティスを継続する素質があるといえます。
レッスンにも熱心になりやすく効果を引き出せる可能性があるでしょう。
専用マットが1枚あれば気軽にできるので、自宅でも復習などしながら根気よく続けることが期待できます。
家族や友達と一緒にピラティスを楽しみたい人は、ぜひスタジオに伺って体験レッスンを受けるとよいでしょう。
モチベーションを保つために、複数の人々と楽しめるのもマットピラティスのよさです。
クラスでの一体感、仲間とのコミュニケーションによって、さらに刺激を受けることができるでしょう。
初めてマットピラティスを始めた人には、いくつもわからない点が浮上することでしょう。
そこでここでは、よくあるマットピラティスに関する質問を解説します。
やってみようか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
マットピラティスをおこなう頻度は、標準で週2~3回、まずは3カ月続けてみることをおすすめします。
創設者のピラティス氏は「10回で違いを感じ、20回で見た目が変わり、30回で身体のすべてが変わる」といった言葉を残しました。
その数値から判断すれば、週2~3回で3カ月の継続が目安です。
その成果として、姿勢改善などが著しければうまく進行しています。
どうしても時間が取れない場合、週1回からでも問題ないでしょう。
とにかく継続することが大切です。
自分のペースで定期的なエクササイズを心がけましょう。
ピラティスで使用するマットは専用のものを揃えたいところです。
背中やひざに負荷がかかるポーズが多いことから、マットの厚さが10㎜~15㎜程度のものが理想といえます。
素材は種類がありメリットが異なります。
以下のような特徴があるでしょう。
● PVC・・・安価でクッション性があり耐久力も高い
● TPE・・・弾力性と耐久力に優れ水洗い可能
● NBR・・・グリップ力、弾力性、保温性があって軽量
これらの特徴から判断し、自分にマッチした製品をチョイスすればよいでしょう。
ピラティスは、マットピラティスとマシンピラティスに大別できますが、さらに細かなアレンジピラティスなどもあって多様化しています。
ただし、原点としてのピラティスはマットピラティスと思っておくほうがよいでしょう。
とくに初心者は、マシンピラティスのほうが向いているとされています。
しかし、マットピラティスのエクササイズをしっかりとマスターすれば、より幅が広がっていくのでおすすめです。
ゆっくり焦らずにエクササイズを続ければ、ますますハマっていけるでしょう。