心理カウンセラーはほかの職種と比べて、独立開業のハードルが低い職業です。
しかし、「開業するにはどうすればいいの?」と困っている人も少なくありません。今回の記事では、心理カウンセラーの独立開業ガイドを6つのステップで紹介します。ほかにもおすすめの資格やサービスの作り方、開業時の注意点も解説。
最後までしっかり読んで、心理カウンセラーとして独立開業を目指しましょう。
心理カウンセラーの仕事は、ほかの職種と比べて独立開業しやすいといわれています。
理由は主に以下の3つが考えられるでしょう。
・初期費用がほぼゼロで開業できる
・副業からスタートしやすい
・自宅でもはじめられる
今から詳しく解説していきますので、心理カウンセラーとして独立開業するか迷っている人は、参考にしてみてください。
飲食店やサロンと異なり、心理カウンセラーの仕事は「クライエントとの対話」です。
独立開業に必要な初期費用が、ほかの業種と比べて圧倒的に抑えられます。
レンタルスペースやオフィスなどを借りるとしても、大型の家具家電をあまり必要としません。特に女性はカフェや美容系のサロン開業をされる人も多いですが、同じ開業でも費用を抑えられるのは心理カウンセラーならではのメリットでしょう。
心理カウンセラーを副業にしている人も大勢います。
副業で始めるなら、スキルマーケットやSNSを活用するといいでしょう。副業である程度の収入が見込めるようになった時点で独立開業する人もいます。
心理カウンセラーのサービスは、自分だけで行なう場合は価格設定や内容もオリジナルでできるので、スキルをつけて単価を上げることも可能です。自分の可能性を広げて、副業カウンセラーから独立開業できるのも心理カウンセラーが独立しやすい理由の1つとなります。
自宅の一部屋をカウンセリングルームとしたり、オンラインカウンセリングサービスのみを提供する形にすれば、自宅で独立開業できます。
自宅で独立開業するメリットは、先ほど紹介した初期費用を抑えられるだけでなく、自分の都合に合わせて自由に働けることです。
特に心理カウンセラーの場合、一定の時間(例:1件50分)を確保すれば、朝2件のカウンセリングをしたあとに買い物に行って、夕方から3件のカウンセリングをするということも可能。
ほかの業種と異なり、自由度が高いのも心理カウンセラーが独立開業しやすい理由といわれています。
心理カウンセラーが独立開業するために必要な6つのステップを紹介します。
<心理カウンセラー独立開業ガイド6STEP>
1.ターゲットとペルソナを考える
2.心理カウンセラーの知識やスキルを学ぶ
3.手法や専門を決める
4.提供方法を決める
5.開業届を出す
6.SNSなどで宣伝しはじめる
6つのステップを詳しく解説していきますね。
「2.心理カウンセラーの知識やスキルを学ぶ」と順番が逆でも問題ないですが、何から勉強したらいいかわからない人は、ある程度決めておくことがおすすめです。
ターゲットとは、サービスを提供したい集団のこと。たとえば、「30代の女性」「働く女性」「保育士」「プレママ」などがわかりやすいターゲットの例となります。
一方、ペルソナとは見込み客のなかでも「具体的な個人」のことです。ターゲットやペルソナを決めるために、競合リサーチすることも重要なステップとなるでしょう。
<ペルソナの例>
・Aさん、33歳の女性。
愛知県在住の看護師、職場の人間関係に悩んでいて仕事を辞めるか迷っている。自分に自信がない。
・Bさん、31歳の女性。
東京都で販売員をしている。結婚したいけど、いつも恋愛で失敗している。
同じ「30代女性」でも、ペルソナを考えることでサービスやSNSの発信内容が変わります。
まずは心理カウンセラーとして仕事をするために必要なスキルを身につけます。
独立開業して成功を目指すなら、資格取得は必須。資格があると「何を専門としている人か」がわかるだけでなく、「知識を持っていると正式に認められた人」と証明できるからです。
どんな心理カウンセラーになりたいか考えて、まずは資格取得を目指しましょう。
・心理学の基礎知識があることを証明するなら…
認定心理士
臨床心理士
公認心理師
メンタル士心理カウンセラー®
メンタル心理インストラクター®
・子ども関連の心理学の知識を証明するなら…
学校心理士
臨床発達心理士
チャイルド心理カウンセラー®
子供心理カウンセラー®
以上のように、資格にもさまざな種類があります。
ステップ2の段階で、ある程度の専門が定まってくるでしょう。
ステップ1との違いは、「何屋さん」かをさらに明確にする作業ということ。
ターゲットやペルソナはあくまでもサービスを提供したい相手です。専門分野というのは「恋愛」「キャリア」「子育て」「自己肯定感」など、自分が何屋さんなのかをターゲットやペルソナに伝えるために必要なものとなります。
カウンセリングの提供方法は大きく分けて、2種類あります。
①対面カウンセリング
②オンラインカウンセリング
2種類のなかで、さらに提供方法がわかれていきます。
対面カウンセリングの場合、次の方法でカウンセリングを提供する人が多いです。
・テナント(店舗など)を借りる
・レンタルスペースを活用する
・自宅をカウンセリングルームにする
・カフェなどで行なう
テナントやレンタルスペースを借りる場合、賃料が発生することも見越した価格設定が必要です。開業地域は自宅付近を選ぶ方法もあれば、主要都市など人が集まりそうな地域を選ぶ方法もあります。
自宅で独立開業する場合は、プライベートとどのように分けるか、住所をどこまで公開するかなど心理カウンセラー側の個人情報の扱いが重要。
一方、カフェなどの公共の場で行う場合、相談者様の個人情報保護に関する細心の注意を払わなければなりません。
オンラインカウンセリングは、次の方法が主流です。
・ビデオカウンセリング
・電話カウンセリング
・チャットカウンセリング
・メールカウンセリング
ビデオ以外のカウンセリング手法は、経験豊富なプロ心理カウンセラーでも難易度の高い方法。
顔が見えない分、伝わるニュアンスも互いにズレやすいため、すれ違いが発生しかねません。その代わり、ほかの仕事の隙間でも提供しやすいのはメリットです。
オンラインカウンセリングの場合は、基本的に初期費用がほぼかかりません。パソコンやネット環境は必要ですが、資金はかなりおさえられます。
いよいよ税務署に開業届を提出します。青色申告予定の人は、青色申告承認申請書も提出しましょう。
開業届は、屋号で銀行口座が作れたり、ママさん心理カウンセラーが子どもの保育園入園などの必要な書類の提出にも役立ちます。
開業届は義務ですが、出さなくてもペナルティがあるわけではありません。
しかし、提出しておけばさまざまなメリットを得られるのは事実です。
5つのステップを全部行っても、相談者様が来なければ収入は得られません。
近年の傾向としては、公式ホームページを持つ以外にSNSの活用が宣伝方法の主軸となっています。
X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokなどのほかに、YouTubeや動画配信サービスを活用している人も増えました。
一気にすべてをはじめるよりは、ペルソナが使っていそうなSNSを1~2つからはじめてみるのがおすすめです。
心理カウンセラーで独立開業している人は年々増加傾向にあります。
競合が多数いるということは、しっかり自分のサービスを確立していないと集客できません。先ほど紹介したステップと重なるところは簡単に紹介しつつ、独自のカウンセリングサービスを作るコツを紹介します。
サービスを作る際は、自己分析とペルソナの明確化が重要です。
サービスを作るというのは、宣伝・PRする方法も考える必要があります。
「看護師をやっていて人間関係に悩んでいる30代女性」をペルソナにしたとしても、あなたとほかの心理カウンセラーのサービスが同じとは限りません。
ペルソナを明確にするだけでなく、自己分析して自分らしいサービスやPR方法を考えましょう。
次に市場調査と競合リサーチが必要です。
ペルソナが明確になり、自己理解が深まっても、同じようなサービスを提供している人はたくさんいるでしょう。
もしくは、非常に狭い範囲がターゲットとなりすぎていて、集客しにくくなる場合もあります。
ほかの人がどんなサービスを提供しているか、ペルソナが何を求めているかリサーチすることも大切です。
自分の頭のなかだけで考えていても、本当にあなたのサービスを欲する人がいるかはわからないですよね。
次のような方法でリアルな声を収集する必要があります。
・SNSでアンケートを取る
・掲示板や知恵袋サイトなどでリサーチする
・ライバルのサービスがどのくらい人気なのかを見極める
まずは知恵袋サイトでリサーチして、SNSでアンケートを取ることが最もやりやすいかもしれません。
いよいよサービスを作っていきます。
リサーチした情報をもとに、ペルソナの求める商品を作ります。
商品は1回作ったらずっと売らなきゃいけないわけではないので、次のステップに進みましょう。
無料もしくは低価格でサービスを提供します。
モニター募集は終了後に感想を聞くこともセットにすれば、商品・サービスの見直しもできるでしょう。
まずは試して、修正して、また試すことを繰り返しながら商品を作っていきます。
繰り返しの話もありますが、何度も伝えるほど重要なことなのでしっかり読んで行動に移しましょう。
心理カウンセラーの独立開業で成功している人は、専門性やターゲットを明確にしています。
誰でも対応できることももちろん強みですが、PRの仕方が難しくなるので失敗しやすい人も多いです。
SNS集客は、近年最も主流な方法です。
対面カウンセリングのみを行う場合は、独立開業する地域にチラシを配布したり、ポスターを貼ることでも集客できるでしょう。
しかし、オンラインカウンセリングサービスも提供するならSNSは必要不可欠です。
SNS集客の方法などが学べる動画や、セミナーなどを活用してSNSを使いこなしましょう。
独立開業する場合、心理学の知識やカウンセリングスキルがあるだけでは仕事はきません。
宣伝やサービス作りのためにも、マーケティングや経営の知識が必要です。
コンサルタントやコーチなどに依頼して、個別もしくはグループで学んでいる心理カウンセラーも多くいます。
独学よりも体系立てたプログラムで、集中して学べるのがメリットですが、資格取得以上に費用が掛かる場合があるのはデメリットです。
心理カウンセラーは、相談者の話に感情的にならないことが重要。自分のメンタルを安定させる必要があるのです。
メンタル安定のためには次のような方法を取っている人がいます。
・カウンセリング以外の仕事を増やす
・本業でまずは資金を集める
・自分もカウンセリングを受ける
・信頼できる相手に定期的に相談する
人のメンタルが不安定になりやすい原因の1つが「人間関係」ですが、独立開業する場合は「収入面」も大きな悩みの1つ。
カウンセリングだけに集中できる環境が理想かもしれませんが、収入面安定のための方法を持っておくと安心ですよ。
独立開業するなら、資格がある方が有利です。
心理カウンセラー自体は、今から誰でも名乗ることができますが、実際にカウンセリングができるかは別問題。相談者様の立場からしたら、「無資格・未経験」の心理カウンセラーよりも「資格あり・経験あり」のカウンセラーの方が相談したい気持ちになりやすいのではないでしょうか?
しかし、未経験で独立開業する人も多いでしょう。ならば、資格を取得して多くの経験を積み、「資格あり・経験あり」に近づくことが望ましいといえます。
心理カウンセラーとして独立開業するためにおすすめの資格を3つ紹介します。
メンタル士心理カウンセラー®は、心理学の基礎とストレスによる症状、症状別の対処法を理解していることの証明となる資格です。
独立開業する際は、オンラインカウンセリングであっても、パソコンやネット開通など、ある程度の資金が必要となります。メンタル士心理カウンセラーは、知識やスキルを持っていれば独学で受験できるのがメリットです。資格取得に費用や時間をかけることなく、専門性を証明できます。
知識やスキルに不安のある方も、59,800円~79,800円で受講できる通信講座があるので、「SARAスクール」「諒設計アーキテクトラーニング」のうちお好きな方を受講してみてください。
夫婦心理カウンセラーとは、夫婦や家族関係の問題解決に必要な知識とスキルを持っている証明となる資格です。
夫婦間のトラブルにはさまざまなものがありますよね。たとえば、不倫や離婚、失職、DVなどの夫婦でトラブルとなる問題もあれば、子どもの養育に対する悩みなどもあるでしょう。
夫婦や子ども、家族専門の心理カウンセラーを目指すなら、取っておくと有利になる資格です。
メンタル士心理カウンセラー同様、「SARAスクール」「諒設計アーキテクトラーニング」に資格取得のための通信講座があります。
近年注目されている「自己肯定感」の専門家としての証明となる資格です。
自己肯定感分析士とは、自己肯定感がどのようにして形成されているか、自己肯定感の低い人の行動特性など、正しい知識と理解を持つ人のこと。「SARAスクール」や「諒設計アーキテクトラーニング」の通信講座を受講すれば、関連資格としてポジティブメンタルトレーナーの資格も取得できます。
独立開業した開業カウンセラーの年収は「人それぞれ」です。
年収1000万円を超える心理カウンセラーもいれば、生活費も稼げない収入の人もいるなどさまざま。
まずは自分がどのくらい心理カウンセラーとして稼ぎたいか考えてみましょう。また、年収1000万超えの心理カウンセラーの場合、カウンセリング以外に講演や出版、スクール運営などをされている人もいます。
心理カウンセラーの独立開業ガイドでは、6つのステップに分けて開業方法を紹介しました。
最後に心理カウンセラーならではの独立開業の注意点と、6つのステップをより具体的に解説します。
屋号とは、開業届に記入するカウンセリングルームなどの名称のことです。
法律上、診療所や精神科・心療内科クリニックではない場所が「○○クリニック」「△△診療所」と名乗れません。名乗ってしまうと、「医療行為ができるのでは?」「医者がいるのでは」と紛らわしいことになってしまいます。
法律違反にならないよう、屋号を決定しましょう。
独立開業する際は、肩書きも重要です。肩書きは「○○カウンセラー」「△△セラピスト」などが当てはまります。
屋号と同様に注意しなければならないのが、業務独占と名称独占の資格に似た名称をつけないようにすること。
たとえば心理カウンセラーのなかで唯一の国家資格である「公認心理師」は名称独占資格です。
法律上、公認心理師登録をしていない人が「公認心理師」「心理師」と名乗ることは禁じられています。「○○公認心理師」「○○心理師」もアウトなので使わないようにしてください。
心理カウンセラーの独立開業は、競合多数ですぐに収入になる人は多くありません。
メンタル安定のためにも、独立開業が軌道に乗るまではある程度の生活防衛費を用意しましょう。
もしくは、副業からスタートして独立開業を目指す手もあります。自身のメンタルに負担のない範囲で、独立開業の準備を進めていってくださいね。
心理カウンセラーとしてスキルアップしたり、新しい知識を身につけるのは「相談者様のために」当たり前の行動です。
たとえば、医師が古い術式しか知らず、最新技術ならもっと早く回復できた…としたらどうでしょうか?
弁護士が法改正を把握せずに、弁護をしていたらどう感じるでしょう。
心理カウンセラーは、相談者様をカウンセラーのせいで不安にさせてはいけません。
心理カウンセラーとして独立開業し、長く活動していきたいなら信頼し続けてもらえるように努力しましょう。
独立開業には、マーケティングや経営の知識が必要と解説しました。
しかし、マーケティングや経営の知識ばかりを習得してしまうと、利益ばかりに注目がいってしまいます。
もちろん利益も大事ですが、目の前の相談者様に寄り添う気持ちは決して忘れてはいけません。
定期的に「なぜ自分は心理カウンセラーになりたかったのか」「誰のサポートをしたいのか」など、初心に戻って寄り添う心を大事にしましょう。
心理カウンセラーはほかの業種と比較して、独立開業しやすい仕事です。
しかし、独立開業に向けてやらなければならないことは多く、途中で挫折してしまう人もいます。
まずは心理カウンセラーとしてのスタートラインに立つために、資格取得からはじめるのがおすすめです。今回紹介した通信講座は、サポートも手厚いのでぜひ資料請求してみてください。
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