悩みや不安、今抱える問題を解決したいけど、どうすればいいかわからないと思っていませんか?
心理カウンセリングは、専門知識を持った心理カウンセラーがあなたの話を聴き、一緒に考えてくれる方法です。
今回は、心理カウンセリングで得られるメリットと、カウンセリングが必要な人、効果が得られにくい人を紹介します。
心理カウンセリングとは、心の専門家による心理的援助のことです。相談者の悩みに対し、心理に関する専門知識を活用してサポートしていきます。
「カウンセリング」と聞くと、精神的な悩みを抱えた人が病院などで受けるものをイメージするかもしれません。
日本人にとって心理カウンセリングは、諸外国と比較すると敷居の高いものであるようです。
厚生労働省による実態調査では、社会人のカウンセリング利用率は3.0%ということが明らかになりました。一方、アメリカの成人がカウンセリング等を受けた割合は55.8%と報告されています。海外の方が、心理カウンセリングに関する社会的な浸透率の高さや、敷居の低さがあるとわかりますよね。
海外の人にとってのカウンセリングとは、メンタル疾患にならないために早めに受けるという感覚のようです。
今回の記事を通して、日本人にとってもカウンセリングの敷居が少しでも低くなればと考えます。
参考
平成30年労働安全衛生調査(実態調査)
https://www.statista.com/statistics/794027/mental-health-treatment-counseling-past-year-us-adults/
心理カウンセリングには、次の6つの効果が期待できます。
日頃、頭のなかであれこれ考えていることはありませんか?
考えているうちに疲れてしまったり、何について考えていたかわからなくなったりすることもあるでしょう。
また、同じことを繰り返して「また似たようなことで悩んでいる」と感じている人もいるかもしれません。
心理カウンセリングは、頭のなかにある考えを外に取り出して整理する、「プロに聴いてもらえるアウトプット法」なのです。
自分の気持ちを吐き出して整理するなかで、「○○と考えることが多い」「△△のときにイライラしやすい」と気づいていきます。
自分の考え方のクセや特徴に気づくことができるのも、心理カウンセリングのメリットの1つです。
悩みや不安を抱えている人は、その問題の大小を気にしていることがあります。
心理カウンセリングは、問題の大小は問いません。カウンセリングを受けることで「わかってもらえた」「聴いてもらえた」「やっと話せた」という安心感を得られます。
一般的に心理カウンセラーは「アドバイス」を行いません。
心理カウンセリングでは、相談者(クライエント)の問題解決能力を高めるアプローチも取り組まれます。すべてカウンセラーが答えを言ってしまうことで、カウンセラーへの依存や、一人で考えられなくなってしまうことを防ぐためです。
その代わり、心理カウンセリングの場では「解決のヒント」「考え方の提案」「プロから見た見解」などを教えてもらうことはできます。
解決のヒントを得られて、自分でも考えていける力を手に入れられるのも心理カウンセリングの効果の1つでしょう。
カタルシス効果とは、簡単に言うと「心の浄化」です。
ネガティブ感情やストレスに感じていることを自由に表現することで、スッキリとした感覚になる意味を持ちます。
心理カウンセリングは、友達や家族に話すのとは異なり、楽しくおしゃべりするわけではないですが、聞き手の話にすり替わってしまうことはありません。遮られたり、否定されたり、意見を押し付けられることもないです。最後まで聴いてもらえたという感覚だけでもカタルシス効果を感じる人は多いといわれています。
先述の通り、諸外国ではカウンセリングは予防の役割を果たしています。
日本のカウンセリングも同様です。現在、日本の心理カウンセリングは「再発予防」の効果は広まっているといわれています。
再発予防とは、ストレス症状が緩和している相談者が、またつらくて悲しい体験をしないための方法です。心理カウンセリングで考え方や捉え方の修正を行ったり、定期的に自分を客観的に見る時間として活用できます。
今、この記事を読んでいる方も「カウンセリングを受けるほどではない」「もっと他に悩んでいる人がいるだろう」「カウンセリングは病んだ時に受ければいいか」と思っている人がいるかもしれません。
ここでは、心理カウンセリングが必要な人の特徴を6つ解説します。1つでも当てはまったら、カウンセリングを試しに受けてみてもいいかもしれないですね。
自分のなかにある悩みや不安を、人に相談できない人はカウンセリングが必要な人です。
「自己解決能力がある」と捉えることもできますが、心身への負担が増幅して、今は平気でも精神疾患になりやすくなってしまいます。
みなさんはこんな風に思ったことはありますか?
・一人で解決しなきゃ
・周りに迷惑かけたくない
・弱みを見せたくない
・わかってもらえないかもしれない
このような思いを1回でも感じたことのある人は、カウンセリングが必要な人でしょう。
自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定する感覚のこと。
自己肯定感が低いと悪いことばかりに目がいってしまって、本来の自分の価値がわからなくなってしまいます。
なにかにチャレンジするときや成し遂げようとするとき、困難な壁にぶつかったときにも自己肯定感は重要です。自分のありのままを肯定することで、「解決した方がいいこと」と「放っておいていいこと」の区別もつきます。
自己肯定感が低い人は、心理カウンセリングで視野を広げたり、考え方を柔軟にしていきたいですよね。
自己肯定感が低いわけではなくても、ネガティブ感情に悩まされやすい人もいます。
無意識に物事の悪い側面ばかりを見てしまったり、自己否定的になりやすい人がネガティブ思考の人です。
また、「自己肯定感が低いわけではない」と思っている人のなかには「条件付きで自分を肯定している」人もいます。たとえば、「仕事が早い私はスゴイ」などが当てはまりますが、この特徴を持っている人は仕事で失敗した時に回復する力が少ないといわれているのです。
ネガティブ思考の人や条件付きでしか自分を肯定できない人も、心理カウンセリングが必要な人でしょう。
みなさんは優先順位づけは得意ですか?
頭のなかがごちゃごちゃしている人、自分が何を考えているかわからない人、やりたいことはあるのに行動できない人。
その人たちに共通する特徴は、頭のなかが混乱していて、優先順位がつけられないことです。
頭のなかが混乱していると、必要なことと今は必要ないこと、不必要なことなどの取捨選択ができなくなります。心理カウンセリングでプロにアウトプットすることで、自分の頭のなかを整理したり、プロと一緒に優先順位付けをしていきましょう。
自分の状況・状態、家族やパートナーのことなど、専門家の意見が知りたい人にも心理カウンセリングはおすすめです。
ネットや書籍にあらゆる情報は載っていますが、「あなたの」状況や状態に合わせたものではないですよね。
また、ネットの情報は精神科医や臨床心理士・公認心理師、心理カウンセラーなどのこころの専門家が執筆していない場合、少々信頼性に欠けることがあります。
専門家の意見やきちんとした情報が知りたい人にも、心理カウンセリングは必要でしょう。
精神疾患を抱えた人は状態や疾患名にもよりますが、カウンセリングと薬物治療を併用した方が、改善しやすいといわれています。
そのなかでも、症状や状況がなかなか改善しない人は心理カウンセリングが必要な人です。
原因療法と対症療法という言葉を聞いたことはありますか?原因療法とは、根本的な課題解決を目指す方法。一方で対症療法とは、症状の緩和や症状をできるかぎり抑える方法です。
薬物療法(主に西洋薬)は、対症療法的役割を果たすものが多いといわれています。つまり、「眠れない症状の緩和のための睡眠導入剤」「不安や抑うつ状態緩和のための抗不安薬」といいう感じです。
初期は薬を飲んで、症状を緩和させる方がいいですが、慢性化している場合は薬に慣れてしまったり、依存してしまっている可能性もあります。
なかなか状況が改善しない人は、今の病気になった根本的な原因の改善のために、心理カウンセリングを検討してみましょう。
心理カウンセリングと似た言葉に、「心理療法」というものがあります。
心理療法とは、傾聴して相談に応じるだけではなく、専門的な技法などを用いて症状や生きづらさの緩和、問題解決能力の向上を目指していくものです。
日本における心理カウンセリングと心理療法の違いは、「心理療法を用いないカウンセリング」か「心理療法を用いているカウンセリング」と考えるとわかりやすいでしょう。
心理療法も心理カウンセリングも、先ほど紹介した「得られる効果」は期待できます。心理療法について気になる方は、次の項目で詳しく解説しますので参考にしてみてください。
心理カウンセリングでも用いることがある、心理療法の代表的な種類を紹介します。
心理療法のなかでも、古い歴史のある方法です。
人は無意識の悪い影響によって、現実場面で困難が起きているという考えのもとで心理療法を行います。
症状を打ち消すよりも、自分自身の心のあり方や感じ方を理解していくことを目指します。
精神分析的心理療法の治療構造は次のようなものです。
・週に1回(創設者のフロイトは週6回)
・1回45~50分
・1回1万円前後
・多くの場合は6~10畳の部屋にある寝椅子に横たわる
心理カウンセリングのなかで用いる場合は、寝椅子は使用しない場合が多いです。また、本来はクライエントとカウンセラーがお互いの顔を見えないようにするのですが、カウンセリングで実施する場合は対面して行われます。
カウンセリングに詳しくない人も聞いたことがある心理療法かもしれません。
認知行動療法は、認知と行動に注目して修正していくことで、課題や症状の改善を目指します。トレーニング要素があり、じっくり話をするよりも話し合い、解決していくイメージがわかりやすいでしょう。
認知行動療法についてはほかの記事でも詳しく解説しています。
カウンセラーの基本的な態度や姿勢を重視する心理療法です。
主に3つの条件がカウンセラーの基本的態度や姿勢として重要視されています。
1.自己一致
相談者の多くは、自分の理想と現実の間に「不一致」を持っています。
カウンセラーは相談者に対して、現実の自己を受け入れられるように話を聴く必要があり、そのためにもカウンセラー自身が自己一致している必要があるという考えです。
2.共感的理解
相談者の体験を、あたかも自分がその人であるような感覚で聴く努力のことを指します。
ただし、感情移入して巻き込まれないようにする必要もあるなど、バランスを取る必要がある態度です。
3.無条件の肯定的配慮
カウンセラー自身の価値観や評価を押し付けずに、相談者が感じていることを受け入れて受容する姿勢のこと。
その姿勢をとることで、相談者は安心して自分自身をカウンセリング中にみせることができます。
問題に焦点を当てずに、解決すること自体に焦点を当てる方法です。解決志向型アプローチともいいます。
相談者の悩みを聴きながら、解決方法を相談者自身が見つけられるように導く方法であり、相談者の意欲を引き出すことも必要です。
ナラティブセラピーは、相談者の話を物語と捉えて聴く方法です。
物語を聴き、相談者が抱える問題を外在化していきます。外在化とは、問題を相談者から切り離すことです。たとえば、問題や感情に名前を付けて切り離していきます。
また、影響相対化質問法という方法を用いて、相談者に対して質問したうえで、別の物語に書き換えていく方法です。
カウンセリングは1対1のイメージがありますが、家族療法やカップルカウンセリングはカウンセラー対複数人で実施されます。
家族療法のなかにも種類があり、次の基本的技法と必要な方法を用いて行われています。
<家族療法の基本的技法>
・リフレーミング
・ジョイニング
・逆説的介入
家族やカップルを1つのシステムとして捉え、問題の原因を突き止めるのではなく、よりよい形を目指すことが主流です。
ブリーフセラピーとは、短期療法のことです。
家族療法の考え方が活かされており、原因探しではなく、問題解決に重点を置きます。
先ほど紹介したソリューション・フォーカスト・アプローチもブリーフセラピーの1つです。自分の悪いところばかりに目が行きがちな人や、前向きになりたいけど前向き過ぎる考え方が苦手な人、トラウマや抑うつ状態を改善したい人に効果的といわれています。
カウンセリングの効果がわかっても、どこで受けられるのか、どのように受けるのか気になりますよね。
ここでは心理カウンセリングが受けられる場所を紹介します。
精神科や心療内科など、病院・クリニックでカウンセリングを受けられます。
ただし、すべての精神科や心療内科で受けられるわけではありません。
あらかじめカウンセリングが受けられるか、公式サイトなどで確認しましょう。
病院やクリニックのカウンセリングは、数は少ないですが保険適用になる場合もあります。保険適用というのは、自己負担3割(自立支援医療の場合1割)でカウンセリングを受けられるということ。
通常、カウンセリングは1回あたり5000~1,2000円が相場なので、保険適用なのは嬉しいですよね。
保険適用の場合は、心理カウンセラーが担当することもあれば、医師や看護師が行う認知行動療法の場合もあります。また、医療機関のカウンセリングは医師の許可がないと実施できないこともあるので、絶対に受けられるわけではありません。
個人もしくは、複数名の心理カウンセラーのみで経営している施設のカウンセリング機関もあります。
「○○カウンセリングルーム」「○○カウンセリングオフィス」「○○心理相談室」などの名前がついていることが多いようです。それぞれの機関によって、対象者や相談内容、アプローチ方法、価格などが異なりますので、しっかり考えて選択する必要が出てきます。
コロナの流行により、以前よりもオンラインカウンセリングのサービスが増えました。
オンラインカウンセリングは、次の4つの方法のいずれかで行なわれます。
・Zoomなどビデオカウンセリング
・電話カウンセリング
・チャットカウンセリング
・メールカウンセリング
自分に合う方法はどれか、信頼できそうなカウンセラーなのかなどをよく確認して申し込みましょう。
国や地方自治体の相談窓口や、学校、会社の相談室などでもカウンセリングは受けられます。
国や地方自治体の相談窓口は基本的に無料ですが、その代わり「平日17時まで」「夜間につながりにくい」などのデメリットもあるようです。
会社内の相談機関は、事業規模にもよりますが設置されているところがあります。また、福利厚生として、外部相談機関の利用費用を出してもらえるところもあるそうです。
学校の相談機関は、小中高だと在校生や保護者しか利用できません。ただし、心理学系の大学院がある大学の「カウンセリングセンター」というものは比較的安い料金でカウンセリングを受けられます。
心理カウンセリングは、1回だけで解決することは少ないでしょう。何回か継続することで、初回で話せなかった内容を深く話せたり、課題に気づくこともできます。
効果的な回数は個人差がありますが、3~6か月程度受ける人もいれば、何年単位で受け続ける人もいるようです。
効果を実感できるようになるのは、悩みの内容にもよりますが20回以上受けると実感できるといわれています。
ただし、カウンセリングメニューで回数や期間の制限がある場合は、その期限内である程度の効果は得られるでしょう。
心理カウンセリングは、精神疾患の人ではなくても受けることができる方法です。
多くの人に効果があり、「受けてよかった」という声もよく聞きます。一方で、カウンセリングに効果がなかったと感じる人もいるのです。
カウンセリングを受ける前の心構えとして、効果が得られにくい人の特徴を3つ紹介します。
カウンセリングは、カウンセラーに話せば解決できると思っていませんか?
心理カウンセリングとは、自己理解を深めたり、自己探求をして、気持ちをスッキリさせたり、解決や改善を目指す方法です。
受け身状態でカウンセリングを受けた場合、カウンセラーのさまざまな質問に対しても、ただ質問に答えるだけになる人がいます。いくら有能なカウンセラーでも、相談者のカウンセリングの時間以外を変えてあげることはできません。
受け身ではなく、自身も積極的に考えたり、自己理解を深めたいと意識することでカウンセリングの効果は得られます。
カウンセリングは、すぐに効果を得られるものではありません。
カウンセラーと話すなかで、考え、気づいていくものです。1回で効果が出る、話せば解決できると期待している人は、カウンセリングの効果は得られにくいでしょう。
心理カウンセリングを受ける人のなかには、実はカウンセラーを信頼していない人がいます。
過去にカウンセリングで上手くいかなかった経験のある人や、他者に対して先入観を持っている人などが当てはまるでしょう。
カウンセリングは、カウンセラーとクライエントの信頼関係で成り立ちます。カウンセラーに対して、信頼しようと思えたときにカウンセリングの効果が発揮されるでしょう。
心理カウンセリングで受けられる効果を6つ紹介しました。
ただし、最後に紹介したようにカウンセリングの効果を得られにくい人もいます。
カウンセリングを受けるときは、自分がどうなりたいか、何を目的にカウンセリングを受けたいかを考えてみてください。そして、カウンセラーに丸投げせず、共に考えることを意識しましょう。
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