マインドコントロールは、本人が気づかないうちに支配されている状態を指します。
もしかしたら、今この記事を読んでいる皆さんや皆さんの周りの人もマインドコントロール状態となっているかもしれません。
そこで今回は、マインドコントロールの仕組みや洗脳との違いを解説します。かかりやすい人とかかりにくい人の特徴もまとめたので、自分に置き換えて考えてみてくださいね。
マインドコントロールとは、人をコントロールするための方法として最も悪質な方法といわれています。
私たちは、気になる人に好きになってもらおうとしたり、商品を買ってもらおうとアピールしたりすることはありますよね。このように人の心を動かそうと努力することは、とても自然なことです。
しかし、マインドコントロールはテクニックを使って、相手を思いのままに操る方法。人をコントロールしようとするなかでも、どちらかといえばネガティブな要素が含まれます。
マインドコントロールとは、他人を自分の思いのままに操る悪質な方法です。
しかし、マインドコントロールの仕組みを紐解くと、私たちにも馴染みのある心理学的なテクニックも使われています。
つまりマインドコントロールとは、本来は人とのコミュニケーションを円滑・良好にするための方法を、悪用している方法なのです。
返報性の法則とは、「よくしてもらったから、私もお返しをしよう」という気持ちになる心理効果のこと。
ただし、いいことだけではなく、悪いことをされたからやり返すことも該当します。
たとえば「食事をごちそうしていただいたから、お礼になにかしたい」と思うのは返報性の法則による行動です。ほかにも、「この人はたくさん褒めてくれるから、私もいいところを見つけて伝えよう」と感じるのも該当するでしょう。
マインドコントロールでは、コントロールしたい相手に異常なほど親切にすることで、相手を信用させるなどの返報性の法則を用いることがあります。
コミットメントとは、約束をする、公約をするという意味です。
コミットメントと一貫性とは、社会心理学の法則で、人間は一度行ったことに関して「一貫性を持たなければならない」と捉えやすいと思うことを指します。義務的な要素も入りますが、一貫性を持つことが当たり前だろうと捉えるようなニュアンスです。
マインドコントロールでは、真面目な人や純粋な人をターゲットに「信じると約束してほしい」と伝え、信頼関係の契約を結ぶ手法を用います。
希少性とは、手に入りにくい価値の高い物やサービスに魅力を感じる現象のことです。
「期間限定」「今だけお得」という文字や言葉に惹かれて、商品を手に取ったことはありませんか?それが希少性の法則を用いたPRテクニックです。
なかなか手に入らないものや特別なものが手に入ると、人間は優越感を得ます。
カルト集団や宗教集団などがマインドコントロールを行うときは、「君だけが特別だ」「あなたは選ばれた人間だ」と、コントロールしたい相手を特別な存在だと信じ込ませようとするのです。
社会的証明とは、物事を判断する際に、他人がどうしているかを参考にすることです。
社会的証明の「参考にする」とは、意識的に調べるというよりも、言葉のテクニックなどで「みんなもそうしているんだ」と思って行動することを指します。
たとえば「コスメランキング1位」「ベストセラー」「○○万部突破」などは、社会的証明を活用したキャッチコピーです。
マインドコントロールでは、どのくらいの人が契約したかなどを、ほかの心理学的テクニックと掛け合わせて使う人が多いといわれています。
好意はそのままの意味なのですが、心理学的に好意について追及すると「影響力」にたどり着きます。
同じことを2人の人に言われたとしましょう。そのとき人間は、言葉そのものよりも「誰が言ったか」を重視することがあります。
「無駄遣いしたら将来苦労する」と、とても誠実であなたのことを考えてくれる人にいわれた場合と、説教のような言い方かつ本人は無駄遣いばかりしている人にいわれたら…どちらのいうことを聞きますか?
影響力の心理とは、言葉ではなく「誰がいうか」を重要視して、人間は行動するというものです。
マインドコントロールでは、返報性の法則やこのあと紹介する権威と掛け合わせて、相手を信じ込ませ言葉巧みに影響を与える手法を用います。
みなさんは、はじめてあった人のなにを見て信用しますか?
見た目や話し方、雰囲気などが一般的ですが、人をコントロールする際には「権威」の圧力を用いることがあります。
有名な先生や実績のある人、メディアによく出ている人などの言葉は「本当のことだろう」と思い、疑ってはいけないと感じる心理的ある力を利用している状態です。
権威ある人が「人間はこの方法を用いなければ、もっとつらい目にあう」といったとします。マインドコントロールにかかりやすい人は、本当かどうか検証せずに「この方がいっているから」と思ってしまうのです。
その人のことをよくわかっていなくても、肩書きや周囲からの敬われ方を見ることで、信用してしまうという心理的反応を使ったテクニックとなります。
マインドコントロールとは、巧妙なテクニックを悪用して他人を思いのままに操る方法です。
先ほど紹介した心理学的テクニックに加え、代表的な手口でマインドコントロールの状態を作り出していきます。
代表的な手口には、次のようなものがあります。
・自己開示
・単純接触効果(ザイアンスの法則)
・情報統制
・環境操作
・恐怖心や罪悪感の植え付け
・依存関係の構築
・集団圧力
マインドコントロールは、カルトや宗教の「集団」だけが行うものとは限りませんが、社会的圧力を用いる人もいるでしょう。
カルトや宗教集団などは、まず自分の生い立ちを話したり、ターゲットの話をじっくり聴く機会を何度かつくります。そのうちに特定の情報だけを信頼させ、ターゲットが他者に相談したり、情報源を検証しないように操作していくのです。
ターゲットの話を聴いたり、勧誘したい宗教について説明する際には、支配者は相手の心情を操作して恐怖心や罪悪感を植え付けていきます。
「信頼関係をつくるのに恐怖心や罪悪感?」と思う人もいるでしょう。しかし、今のターゲットの自信を極限まで失わせることで、「こうすればあなたは大丈夫」と信じ込ませることができるのです。こうして、依存関係が生まれます。
最後に、集団圧力や同調圧力を用いることで「みんなやっているんだ」「幸せになるためには必要なんだ」と思いこませていきます。
ここまでは、基本的なマインドコントロールの仕組みやテクニックを紹介しました。
この項目では、大きく4つに分けられるマインドコントロールの種類を紹介します。
ターゲットの行動に対して、非難と賞賛を繰り返すコントロール方法です。
「報酬と罰」といった仕組みが活用されています。
支配者にとって都合のいい行動をしたときは賞賛し、都合の悪い行動は非難することで、特定の行動を減らしていくのです。
「誰と仲良くするか」「どこで買い物をするか」など細かな行動も、徐々に規制されていくといわれています。
カルト集団で主に用いられるコントロール方法です。
集団にとって、利益になる考えだけを植え付け、相手の思想・思考を操作していきます。
行動コントロールは、特定の行動をなくさせる方法でしたが、思想コントロールは特定の思想を排除していく手法です。
特に、強い恐怖心と不安感、罪悪感をコントロールする方法です。
ターゲットが元々持つ不安感をあおって「この方法を選ばなければ恐ろしいことになる」と支配していきます。
おそらく多くの人は「おかしなことをいっている」と思うでしょう。しかし、不安が強い人やメンタルが落ちている人は、正しい判断ができにくいといわれています。ターゲットの感情をコントロールすることで、自分のいうことを聞くように仕向ける方法です。
情報コントロールは、代表的な手口で触れた「情報統制」のことです。
自分たちに都合のいい情報のみをターゲットに見せ、ほかの情報源を一切遮断させるのは宗教やカルトでよく用いる手法でしょう。
ターゲットにとって信じるべきものが、支配者や支配者に提供された情報源のみになるので、信じ込ませやすくなります。
マインドコントロールの解説をするとき、「洗脳」という言葉を用いる際ともよく見かけます。
実は厳密には、洗脳とマインドコントロールとは異なるものなのです。
洗脳とは、主に暴力的な方法や強固な圧力を用いて、強制的に思考を課せさせる方法。
主に、監禁や強迫、DV、虐待、強姦などで洗脳を用います。洗脳は暴力や圧力を与えるなかで、時に優しくしながら、相手の思想を変えていきます。
実は洗脳とマインドコントロールを比較すると、マインドコントロールの方がやり方としてはソフトだといわれています。
宗教とは、社会や人間の精神をいいものと変えてくれると捉えられがち。カルトと宗教であれば、宗教の方が安心と考える人もいるでしょう。
また、海外の宗教やカルト集団の印象が強く、日本人にはなんだか馴染みのないものと感じる人もいるようです。
しかし、日本の宗教の一部はマインドコントロールの手法を用いています。
この記事で特定の宗教集団を取り上げることはしませんが、「日本 宗教被害」と検索するだけでも数々の宗教被害やトラブルは出てきます。
マインドコントロールには、かかりやすい人とかかりにくい人がいます。
まずはかかりやすい人の特徴を6個紹介します。
マインドコントロールとは、他人を依存させて、思いのままにコントロールする方法です。
もともと、依存体質の人は支配者にとって好都合のターゲットとなるでしょう。
依存体質の人のことを、支配者は多くの心理学的テクニックを用いなくても、信者にすることが可能だと思っています。
人に影響されやすい、物や人に依存しやすい、自分で考えず頼りがちな人は気をつけてください。
権威や希少性、社会的圧力について解説しました。
人の話を鵜呑みにしてしまうなど、人間を疑わない純粋すぎる人はターゲットにされやすいです。
日常生活で物事を判断するとき、「限定」や「有名な人が使っている」などを重視しやすい人は、検証するクセをつけるなど気をつけてみましょう。
「私は大丈夫」「私はマインドコントロールにかからない」と思っている人も注意が必要です。
自分を過信しすぎている人は、自分が信じられる情報は受け入れてしまう特徴があります。宗教やカルト集団の考えと、自分の考えが一致した場合は非常に危険なのです。
支配者はプロのテクニックを持っています。一人ひとりに合わせて、巧妙な手法を用いてくるので「大丈夫」と思っている人ほどのめり込むことがあります。
ストレスを感じている人は、疲労や焦り、不安などを持っています。
そのような感情や状態につけこまれて、コントロールされる可能性が高まるでしょう。
日本では、勧誘されたときは「誰にも相談できないほど落ち込んでいた」「そんなときに、手を差し伸べてくれた」「この人は信じてくれた」という状況がよくあります。
ストレスを抱えているかつ、相談できる友人や家族が周りにいない人はマインドコントロールに合わないよう気をつけてくださいね。
マインドコントロールにかかりやすい人の中には、虐待にあっていた経験や毒親に育てられたなど、自分で決断する機会を与えられなかった人がいます。
そのようなつらい経験をした人は、相手に決めてもらうことが当たり前となり決断力がない状態であることが多いです。
支配者にとってマインドコントロールしやすい人は、不幸な生い立ちを持つ人や決断力が乏しい人といわれています。コントロールしやすい要素を持っているので、早いうちに決断力をつけられるよう心理カウンセリングなどの専門機関に頼っておきましょう。
絶対ではないですが、知的能力に課題がある人もかかりやすいといわれています。
興味関心に偏りのある神経発達症(発達障害)の人や知的能力の低い人などは、判断する力だけでなく、解決する力も弱い傾向があるのです。
周囲に相談せずにいつの間にか宗教にはまってしまった、という人も一定数いるといわれています。
マインドコントロールにかかりやすい人もいれば、かかりにくい人もいます。
続いては、マインドコントロールにかかりにくい人の特徴を3つ紹介します。
マインドコントロールは、「絶対にかからない」と自分を過信しているだけではかかる可能性があります。
物事を疑う姿勢や検証しようとする人は、マインドコントロールにかかりにくいでしょう。
自分で決断できなくても、宗教団体の名前で検索する、カルト集団被害者の記事を読むなどで情報収集はできます。
また、友人や家族に「こういう人に勧誘された」と話してみるのも手です。実はプライドが高くて、人に相談しない人も宗教に勧誘されやすいといわれています。
その理由は、周囲に相談しないため、善悪の判断ができにくくなるからということだそうです。
物事を多方面から検証しようとする人は、マインドコントロールにかかりにくいでしょう。
自分の身に起きたことや出会った事柄を客観的にとらえられる人も、マインドコントロールにかかりにくい人です。
私たち人間がマインドコントロールにかからないためには、冷静な判断力が必要ということですね。
話を聴いて「それすごくいいですね!」と飛びつきやすい人は、客観的視点や冷静な判断力を身につけましょう。
そもそもマインドコントロールに関する知識を持っていれば、「この言い方は怪しい」と察知できます。
この記事を参考に、マインドコントロールにかからないための知識を身につけましょう。
なかでも心理学的テクニックを知っていれば、宗教やカルト集団だけでなく、悪質な詐欺や利益重視の企業の戦略にも騙されにくくなります。心理学の勉強をしておくと、騙されにくくもなりますし、セルフケアにも役立ちます。
人を疑いすぎるのもいいとはいえませんが、騙されない、流されないためには知識を身につけておくのも一つの手です。
気をつけていても、マインドコントロールにかかるときはあります。
また、周りの人がマインドコントロールにかかっている場合もあるでしょう。最後にマインドコントロールにかかったときの解き方を解説します。
マインドコントロールから抜け出すためにも、今の自分を客観視してみましょう。
おすすめの方法は、紙に書き出し、カルトや宗教関連ではない人に相談することです。
紙に書き出す内容は、「自分の考え」「相手(支配者)との出会い」「相手に言われたこと」などを書いてみるといいでしょう。
相手に言われたことを改めて冷静に見た時にどう思うかも書くといいかもしれません。
それだけでもマインドコントロールが解かれる人はいますが、カルトや宗教関連ではない人に話を聴いてもらって、頭のなかを整理するのもおすすめです。
マインドコントロールとは、今回紹介したような心理学的テクニックを悪用して他人をコントロールする方法です。
主に支配者とターゲット、もしくは集団とターゲットという狭い範囲で、依存関係を構築していきます。
だからこそ、カルトや宗教関連ではない周囲に話して、率直な意見を聞くことは必要です。
もし相手(支配者)から「自分のこと以外、信じないでほしい」といわれても、【参考にする】つもりくらいで周囲に話してみましょう。
この記事を読んでいるということは、少なからずの迷いがあるはず。
関係を断てなくて困っている、もしくは関係を断っていいのか判断に迷う場合は、カルトや宗教と関連のない人に打ち明けてみましょう。
助けを求めて、無理やりにでも支配者との関係を断つ必要があります。
二元論とは、物事を相対する2つの原理で考えることです。
二元論自体が悪いのではありません。
マインドコントロールでは、支配者は「どちらかに決めなさい」と迫ったり、ターゲットが選んだことと反対のことは「二度と選んではいけない」と誘導してきます。二元論で判断させようとしてくるので、二元論で考えることをやめれば「他の選択肢もある」という考えになりやすくなります。
きちんとした機関のカウンセラーや、資格を持つカウンセラーに相談してみましょう。
このとき気をつけたいのは、カルトや宗教がおすすめしたカウンセラーを選ばないこと。なかには、宗教のつながりを持ちマインドコントロールの手助けをするような立場のカウンセラーもいます。
カウンセラーは誰でも今日から名乗れる職業なので、きちんとした機関(病院など)や資格を持っているカウンセラーに相談してください。
友人や家族に相談できない人や、相談したら怒られてしまった人などは特におすすめです。
マインドコントロールにかかりにくい人の特徴を手に入れることは重要です。
マインドコントロールは、カルトや宗教以外にもさまざまなところで使われていることがあります。たとえば、マルチ商法や詐欺、一部の企業などもマインドコントロールを用いて人を集めているので注意しましょう。
マインドコントロールから身を守るために、次のような方法を試してみてください。
・物事を調べるクセをつける
・客観的視点を身につける
・心理学を学ぶ
・情報リテラシーを向上させる
・健全な人間関係を構築する
・自分の課題(行動や認知の歪みなど)を解決する
マインドコントロールにかからないための方法は、日常生活でつらい目に遭ったり、ストレス対処したりするためにも重要な方法でしょう。
マインドコントロールは、本来健全に使うべき心理学的テクニックを悪用した方法です。
私たち人間の身近にも潜み、いつ誰がコントロールされてもおかしくないといえます。
マインドコントロールに関する正しい知識を身につけ、身を守るための方法を実践し、生活していきましょう。
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