
「心理学に興味があるけれどどんな分野があるのかわからない」
「自分に合った学び方が見つからない」とお悩みではありませんか?
心理学は人の心や行動を科学的に研究する学問で、実は26もの多様な分野に分かれています。
この記事では、心理学の全体像を初心者にもわかりやすく整理し、大学選びや資格取得、社会人の学び直しまで具体的な学習方法をご紹介します。
心理学の種類は大きく分けて「基礎心理学」と「応用心理学」の2つに分けられます。以下がその概要です。
基礎心理学は、人間の心理現象を科学的に研究し、心の仕組みや法則を解明することを目的としています。基礎心理学の分野は相互に関連し合いながら、私たちの日常生活に深く関わっています。
応用心理学は、基礎心理学で得られた知見を実際の社会問題や生活課題の解決に活用することを目的としています。医療、教育、産業、スポーツなど様々な領域で役立てられています。
基礎心理学の主な分野は12種類あります。身近な例とともに各分野を紹介していきます。
認知心理学は、知覚、記憶、思考、判断といった人間の情報処理プロセスを研究する分野です。
コンピューターの情報処理システムになぞらえて研究されることが多く、AIの発展にも貢献しています。吊り橋効果や初頭効果(認知バイアス)でも有名な分野です。
例えば、スマートフォンを初めて使う高齢者が、操作を覚える過程は認知心理学の研究対象です。
発達心理学は、胎児期から老年期まで人間が生涯にわたって経験する心理的変化を研究します。
近年では生涯発達の観点から、大人になってからの学習能力や適応力についても研究が進んでいます。
2歳頃の子どもに自我が芽生え、自分の意思を表現したくなる「イヤイヤ期」は発達心理学の典型例です。
学習心理学は、経験を通じて行動や認知が変化するプロセスを科学的に研究します。
条件づけ学習や観察学習など、様々な学習形態のメカニズムを解明することは、習慣形成やスキル習得における方法論に活かされます。
コーヒーショップで毎朝コーヒーを買う習慣は学習心理学の実例です。
「眠気覚まし」という目的でコーヒーを飲んでいたものが、香り、店の雰囲気などの刺激と組み合わされることで、コーヒーショップに近づくだけで気分が良くなるという条件づけが行われます。
生理心理学は、心理状態と生理的反応の関係を科学的に研究する分野です。
ストレス研究や感情制御の理解に重要な役割を果たしており、メンタルヘルス分野での治療法開発にも貢献しています。
面接や試験前に緊張で手に汗をかき、心臓がドキドキする現象は生理心理学の身近な例です。
社会心理学は、社会的環境が個人の心理や行動に与える影響を研究します。
組織運営、マーケティング、教育現場など様々な場面で活用されています。フット・イン・ザ・ドア、好意の返報性、ザイオンス効果など、有名な心理テクニックも多くはこの分野の研究成果です。
満員電車で他人との距離が近くなると無意識に視線を下に向けたり、スマートフォンを見るのは社会心理学の現象です。
パーソナルスペースが侵されることによる心理的不快感を軽減するため、アイコンタクトを避ける行動をとります。
性格心理学は、個人の持続的な行動パターンや心理的特徴、性格の形成要因などを研究する分野です。カウンセリングや人事評価、自己理解の促進など幅広い場面で活用されています。
同じ締切のあるタスクに対して、早めに取り組む人と直前まで手をつけない人がいる例を心理学では、一貫した行動パターン=性格(パーソナリティ)の違いとして研究します。
行動心理学は、観察可能な行動とその背後にある心理メカニズムを研究します。
営業、接客、教育、カウンセリングなど対人関係が重要な職業で特に活用されています。ミラーリング効果でも有名です。
話をしている時に相手が腕を組んだり、足を組み替えたりする動作(観察法)は行動心理学の例です。腕を組む動作は自分を守りたい心理や相手の話に納得していない気持ちの表れの場合があります
知覚心理学は、感覚器官を通じて得られる情報が心理的経験として処理される過程を研究します。製品デザイン、広告、建築、音響設計、料理などの分野で活用されています。
同じ料理でも美しく盛り付けられた方が美味しく感じるのは、視覚情報が味覚に影響を与える例です
神経心理学は、脳の構造と機能が心理的活動にどのように関わるかを研究する分野です。
脳の可塑性や回復メカニズムが明らかになるなど、医療現場において不可欠な研究分野です。
物の名前は思い出せないが「あー、ほら、あれ」と言いながら使い方のジェスチャーはできる現象(ティップ・オブ・ザ・タング現象)は神経心理学の研究対象です。
言語心理学は、言語の習得、理解、産出における心理的プロセスを研究します。母語の獲得から第二言語学習まで、言語に関わる認知メカニズムを解明し、言語教育方法の改善やコミュニケーション支援システムの開発に活かされています。
方言を使う場面で親しみやすさが増すことは、言語と感情やアイデンティティの関係を示す言語心理学の身近な例として研究されています。
異常心理学は、通常とは異なる心理状態や行動パターンを科学的に研究する分野です。
この研究成果は、精神保健の向上、偏見の解消、適切な支援体制の構築に重要な役割を果たしています。
例えば、清潔好きな性格と強迫性障害の違いのように、日常的な行動と病的な状態の区別を解明しています。
計量心理学は、心理現象を数量的に測定し、統計的手法を用いて分析する方法論を研究します。
AIや機械学習の発展により、大量の心理データの解析が可能になり、新たな発見や理論の構築が期待されています。
性格診断テストや適職診断で「外向性80%」のような数値で結果が示されるのは計量心理学の応用例です。
本来目に見えない性格特性を質問項目への回答から数値化し、他の人との比較を可能にしています。
応用心理学の主な分野は全部で14種類あります。身近な例とともに各分野を紹介していきます。
臨床心理学は、心理的問題を抱える人々への支援を目的とした実践的分野です。
うつ病、不安障害、トラウマなど様々な心理的困難に対して、科学的根拠に基づいた心理療法やカウンセリングを提供します。
近年では予防的介入(開発的カウンセリング)やメンタルヘルスの普及啓発にも力を入れています。
職場でのストレスが原因で眠れなくなったり、食欲がなくなったりする症状に対して、カウンセラーが認知行動療法を用いて支援するのは臨床心理学の例です。
ビジネス分野では「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」などコーチングの例も挙げられます。
教育心理学は、学習効果を最大化するための科学的アプローチを研究します。
近年では、デジタル技術を活用した個別学習支援システムや、発達障害児への特別支援教育の充実が重要なテーマとなっています。
小学生が九九を覚える時に、歌やリズムに合わせて暗記する方法は教育心理学の身近な例です。
産業心理学は、職場における人間の心理と行動を研究し、働く人々の幸福と組織の生産性向上を両立させることを目指します。
リーダーシップ、チームワーク、ワークライフバランス、職場のストレス管理などに活かされています。
チームで仕事をする時に、一人だけ違う意見を持っていても「みんなが賛成しているから」と自分の考えを言わずに合わせてしまうのは産業心理学の研究対象です。
集団思考や同調圧力が創造性や問題解決を阻害する可能性があります。
スポーツ心理学は、競技パフォーマンスの向上と選手の心理的健康を支援する分野です。
スポーツを通じた人格形成や社会適応の促進についても研究が進んでおり、競技スポーツから生涯スポーツまで幅広い領域で活用されています。
フリースロー成功率の高いバスケットボール選手が、試合の重要な場面では普段より成功率が下がるのはスポーツ心理学の研究例です。
犯罪心理学は、犯罪行動の心理的メカニズムを解明し、犯罪の予防と抑制に貢献する分野です。
近年では、サイバー犯罪や組織犯罪の心理的側面も注目されています。
オレオレ詐欺で高齢者が騙されやすいのは犯罪心理学の研究対象です。被害者の心理的弱点を突く手口の分析から効果的な防犯教育や詐欺対策を開発します。
災害心理学は、自然災害や人為災害が人々の心理に与える影響を研究し、効果的な防災・減災対策を提案する分野です。
災害時の避難行動、集団パニック、PTSD、復興過程における心理的変化などを科学的に分析します。
火災報知器が鳴った時に「きっと誤報だろう」と思ってすぐに避難しない心理(正常性バイアス)は災害心理学の研究対象です。
家族心理学は、家族システムにおける心理的相互作用を研究し、家族の健全な機能を支援する分野です。
近年では、単身世帯の増加、国際結婚、LGBTQの家族など、多様な家族形態に対応した支援方法の開発が重要なテーマとなっています。
思春期の子どもが親と口をきかなくなるのは家族心理学の典型的な研究テーマです。子どもの自立欲求と親の保護欲求がぶつかり合い、距離を置くことで自分のアイデンティティを確立しようとします。
芸術心理学は、芸術活動と人間の心理的体験の関係を研究する分野です。
美的体験のメカニズムを理解することで、より効果的な芸術教育や芸術を活用した心理療法の開発が可能になります。
デジタルアートやVR技術の発展により、新たな芸術体験の心理的効果も研究されています。
絵を描いたり楽器を演奏したりする創作活動はストレス軽減や自己表現に効果的であることが例として挙げられます。
健康心理学は、心理的要因が身体的健康に与える影響を研究し、病気の予防と健康の維持増進を目指す分野です。高齢化社会において、心身の健康を総合的に捉えたアプローチがますます重要になっており、予防医学や統合医療の発展に役立っています。
「病は気から」という言葉通り、ストレスが続くと風邪をひきやすくなったり、胃痛が起こったりするのは健康心理学の身近な例として挙げられます。
環境心理学は、物理的環境が人間の心理や行動に与える影響を研究する分野です。
色彩、照明、音響、空間配置などの環境要因の研究により、学習効果を高める教室設計、創造性を刺激するオフィス空間などに活かされています。
カフェで勉強や仕事がはかどるのは環境心理学の身近な例として挙げられます。
交通心理学は、交通環境における人間の心理と行動を研究し、交通安全の向上を目指す分野です。運転者の注意、判断、危険認知、高齢ドライバーの特性、あおり運転の心理的背景などを科学的に分析します。
運転中にスマートフォンが鳴ると、ついつい画面を見てしまう行動は交通心理学の身近な研究例です。
動物心理学は、動物の行動と心理を研究し、人間の心理理解や動物の福祉向上に貢献する分野です。セラピーアニマルの活用や野生動物の保護においても重要な知見を提供しています。
ペットの行動は身近な研究対象ですが、例えば飼い主が悲しんでいる時に寄り添ったり、ストレスを感じている時に距離を置いたりする行動が挙げられます。
性心理学は、性に関する心理現象を科学的に研究し、健全な性的発達と性の多様性の理解を促進する分野です。適切な性教育プログラム、性的マイノリティへの支援、性の多様性の認識などに活かされています。
思春期の性的関心の高まりや、恋愛感情の芽生えは性心理学の重要な研究テーマです。
消費者心理学は、消費行動における心理的プロセスを研究し、マーケティングと消費者保護の両面に活かされる分野です。消費行動が複雑化する現代において、オンラインショッピングやSNSマーケティングの心理的影響も重要な研究テーマとなっています。
「期間限定」「残り僅か」という表示を見ると、つい購入したくなる心理(希少性の原理)は消費者心理学の典型例です。
心理学の体系的な学習を希望する場合、大学や短期大学の心理関連学部への進学が最も一般的な選択肢です。心理学部をはじめ、人間科学部、教育学部、社会学部など、様々な学部で心理学を専攻することが可能です。
心理学への第一歩として、書籍による独学から始める方法もあります。心理学の基本概念や理論を体系的に解説した入門書を通じて、この分野への理解と興味を深めることができます。基礎的な知識を事前に習得しておくことで、その後の本格的な学習がより効率的になります。
心理学を学ぶ際には資格の取得を通して学ぶ方法もあります。公認心理師や臨床心理士などの上級資格は受験資格に大学院修了などの厳しい条件があるため注意が必要です。
一方で、民間資格は比較的取得しやすく、心理学の基礎知識を体系的に学ぶ良い機会となります。
既に社会で働いている方が心理学を学ぶ場合、オンライン講座や通信教育の活用が効果的です。時間や場所に制約されることなく、自分のペースで学習を進められるため、仕事と両立しながら専門知識を身につけることができます。特に民間教育機関が提供する心理カウンセラー養成講座は臨床心理学を学びたい方におすすめです。
心理学は基礎心理学、応用心理学に加え、実験心理学、臨床心理学の4つに分類されることがあります。実験心理学は科学的手法を用いて心理現象を検証し、臨床心理学は心の病気や問題を抱える人への支援を行います。
心理学の3大学派は、行動主義、認知主義、人本主義を指します。
行動主義は観察可能な行動に焦点を当て、学習理論の発展に大きく貢献しました。認知主義は思考や記憶などの認知プロセスを重視し、情報処理の観点から心を理解しようとします。人本主義はロジャースやマズローが提唱し、人間の自己実現や成長への欲求を重視する立場です。
初心者には一般心理学や心理学概論から始めることをおすすめします。これらの分野では心理学の基本概念や各分野の概要を幅広く学べるため、全体像を把握しやすくなります。
もちろん興味のある特定の分野から学習を始めても問題ありません。発達心理学や社会心理学など身近なテーマから入ることで、学習への関心を維持しながら、結果的に心理学全体の理解が深まります。
将来的に臨床心理士やカウンセラーなど具体的な職業を目指している場合は、その仕事に直接関係する臨床心理学や相談技法から学び始めることもおすすめです。
心理学を活かした仕事は幅広い分野に存在します。
教育分野のスクールカウンセラー、ソーシャルワーカー、企業分野では人事担当者や産業カウンセラー。医療・福祉分野では臨床心理士や精神保健福祉士。
また、マーケティングや広告業界では消費者心理の理解を活かした商品開発や広告制作から、家庭裁判所調査官や矯正心理専門職などの司法分野まで、心理学の知識は人間理解が重要な多くの職業で活用できます。
心理学を学んだ人が目指せる専門職には、国家資格である公認心理師を筆頭に、臨床心理士、学校心理士、産業カウンセラーなどがあります。これらの専門職になるには、それぞれ指定された大学院での学習や実習、資格試験の合格が必要となります。
心理学は基礎心理学と応用心理学の2つに大別され、合計26の専門分野が存在します。
心理学を学ぶ方法も多様で、公認心理師や臨床心理士などの国家資格を目指せる大学での学習から、短期間で実践的なスキルを身につけられる民間資格まで、ライフスタイルに合わせて選択できます。
特に社会人の方には、働きながらでも取得しやすい心理カウンセラーやメンタルヘルス関連の民間資格がおすすめです。自分の興味や将来の目標を明確にして適切な分野を選び、まずは基礎学習から始めてみてはいかがでしょうか。
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